映画「十月圍城」を観る

旺角の百老匯戲院は今でも朝イチ上映の早場が安い。35HKドル。これで今日は「十月圍城」を観る。
一番の見所は1905年の香港中環(セントラル)の街並を忠実に再現したオープンロケセットだ。リアルさを求めるプロデューサー、ピーター陳可辛が上海松江に8ヶ月の時間をかけてつくったものだ。実は横店にも映画「アヘン戦争」を撮った時に作った香港街があるのだが、うそっぽいということで即却下。確かに。この原寸大のセットだけでも見る価値大ありだ。
出演者も実力者揃いだ。しかしここで特徴的なのが、誰もが今までのイメージと離れた役に挑戦していることだ。
ニコラス謝霆峰は最後まで3枚目、ドニー甄子丹はバチクで身を潰したしがない下っ端の警官、いつも強面役の王学圻はちょっぴりお茶目だ。乞食役のレオン黎明と暗殺者の胡軍アニキは予め言われないと誰だか分からずじまいで、範冰冰はいつもメディアでは厚化粧で露出しているので、ここまであっさりしていると別人のようだ。孫文役の張涵予にいたってはエンドロールを見てやっと気付いた。つまりそれぞれが得意とする物を封印されているのだ。ここにも大きな意図がありそう。
もちろん派手な爆破やアクション満載で甄子丹の踵落としはやはりすごい。
監督はテディ陳徳森だが、陳可辛の意見もかなり取り入られていそうだ。もともと10年前から構想があり、資金が集まったので今年公開となった。なのでキャスティングも最初のとは大きく変わっている。(10年前はもっと香港映画っぽい。)
それぞれのキャラクター設定がしっかりして別々に映画を撮っても成立するくらいだ。特に乞食に落ちぶれた劉郁白(レオン黎明)とか、背景をもっと知りたくなってしまう。
実は主役は李玉堂(王学圻)だと思う。