ケイト・ブランシェットのカリスマ性が最高「TAR」

とにかくケイト・ブランシェットが超かっちょいい。

でも性格は最悪。でも本人は無自覚。周りの人間も何も言えないから、好き勝手がそのまま通ってしまう。

ターの音楽の才能は紛れもないものだが、その唯我独尊で横暴ともいえる性格が災いして、後半一気に転落していく。オーケストラは集団で作り上げる芸術なので、天才が1人だけいても完成出来ない。舞台や映画製作もしかり。画家や作家なら1人作業なので奇人変人でもまだ何とかなるかもしれないが。

結局ターは権力を持った王様だが、信頼して守ってくれる人は周りに一人もいない孤独な存在だ。新しく出会った若いチェロリストに恋をするが、職権乱用するのはルール違反だ。でもまわりの人間はみんな分かっていながら、怖くて誰もそれを指摘出来ない。

158分でクラシック音楽の映画なので途中で寝ちゃうかもと思ったが、サスペンス要素も入っているので、最後まで引き込まれてしまった。というか謎がいくつもちりばめられているので、これは何を象徴しているのかと考えることで頭がいっぱい。

芸術に身を捧げても幸福な人生を送れる人もいる。ターの人生の後半がそうなればいいと思う。