第47屆香港國際電影節クロージング映画「送院途中(バイタル・サイン)」

最終日に2回上映。残念ながら舞台挨拶には古天樂(ルイス・クー)の姿はなかった。それでも早くから行列が出来て、何とか2階の前の方の席をゲット。これがワールドプレミア。

救急救命士の馬志業は娘と2人暮らし。娘の将来を考え、義理の両親の移民先のカナダに移民申請をしたが、腰の持病のために馬志業だけ許可が下りなかった。一方で長年働いている消防署では出世優先主義の若手が入ってくる。しかし現場第一主義で万年ヒラ職員の志業に次第に影響され、人生観を変えていく。

香港では珍しい救急救命士を主役にした映画。消防士の話は結構あるけど。

ちなみに香港の救急車は有料。香港居住者は180香港ドル、香港非居住者は1230香港ドルの手配費用が掛かるそう。

時間との闘いでもある救急救命士の仕事だが、前半はユーモアも交えて消防署の日常を描いている。古天樂と娘との掛け合いもとても自然だ。というのも彼女は「明日戰記(未来戦記)」でも娘役をしていた。この古天樂×娘の組み合わせは「一個好爸爸(2008)」の頃から鉄板。

しかし後半の一番の見せ場である屯門での交通事故現場では緊張感漂う場面になっている。

救急救命士に対するリスペクトに溢れたこの映画を撮った卓韻芝監督は、以前は芝see菇biの芸名でテレビやラジオのタレントをしていた。その後現在の名前でお笑いの舞台に出たり、「Good Night Show 全民造星」の導師(先生)になったりと多芸多才な人だ。この映画は長編映画としては彼女の3作目にあたる。

上映後のQ&Aでは、客席に2本のマイクスタンドを左右に用意して、そこで質問者が左右交互に質問していた。この方がテンポもいいし、時間も節約できる。

上映中も笑うところは大爆笑だし、質問もおもろいし、相変わらず香港のお客はHOTだなあと感じた。ほぼ100%広東語なので、ちょっとしか内容が聞き取れなかったのが惜しい。

 

追記:2023年東京国際映画祭で上映予定。粗口(広東語スラング)だらけの袁澧林(アンジェラ・ユン)の科白をどう訳すかなw