事実は小説より奇なり「台灣犯罪故事(台湾・クライム・ストーリーズ )」

2023年1月4日からディズニープラスで配信中。1作品3話のオムニバスドラマで、全部で4作品12話ある。

第1話「出軌」:日本語に訳すと「脱線」だが不倫の意味もあって、どちらにもかけている。

第2話「生死困局」:過去の一家惨殺事件の真相を探る記者と、容疑者である死刑囚とのお話。

第3話「惡有引力」:少年2人の犯罪に至るまでの経緯を辿る。

第4話「黑潮之下」:軍事基地内の殺人事件。閉ざされた組織の中で真犯人を探し出せるのか?

実録犯罪ドラマというとおどろおどろしいが、それを文字通りドラマティックに脚色して見ごたえもばっちり。バイオレンスな美学も忘れていない。時代背景がどれも2000年代なので、みんなガラケー

「出軌」での容疑者の兄役の薛仕凌(シュエ・シーリン)の演技がうますぎ。最期に煙草を吸う時の手の震え方とかただ者ではない。検察官が起訴の前に犯人を追い詰めようと駆けずり回るのが日本と違うところ。

個人的に一番好きなのは、第2話。ヤクザの話だが、まだ任侠とか義理人情が残っている時代の話だ。塀の中の生活も興味深い。ここでは名バイプレーヤーの陳家逵(チェン・ジアクイ)が、非情で自己中な悪役を演じている。

第3話は事件の主犯と被害者家族の生活が同時進行している。みんな傷ついてケアをする人がいない状態。そこに性衝動と宗教が入り込んでくる。誰が悪いとか言えないのがやるせない。

第4話みたいな閉塞的な場所での隠蔽話は今でもありそう。そこにダメなヤクザの兄貴が絡んできて複雑な構造になっている。暴力シーンが本当に痛そうで、軍人にもヤクザにもなりたくないと心底思う。

台湾の良質な作品を次々に配信しているディズニープラス。日本、韓国、台湾でサービスが開始されてからの追い込みがすごい。それでも観たい作品の数はまだまだ。もともとディズニーやピクサー、マーベルが好きな人はいいと思うけど。