プラネットプラスワンで「第三の男(1949)」を観る

マニアックな中崎町にあるマニアックな映画館で上映されていたので観てみた。

町山智浩氏が語る20世紀名作映画講座」をYouTubeで見てからずっと見たいと思っていた映画。なので観る前から概要は把握していた。多分この解説がないと半分も理解できなかったのではないか。

第二次世界大戦直後のウィーンで繰り広げられる逃走劇。謎の美女、巻き込まれ型の主人公、魅力的な悪役とミステリーの重要な要素は全部詰まっている。

さらにいろいろなメタファーが重ねられて、一筋縄ではいかない映画になっている。

他の作品にも影響を及ぼしている悪役の原型でもあるハリーは確かに際立っている。頭脳明晰でカリスマ性があって、でも根本的に何かか欠けていて、でもその欠落にすら人を引き付ける魅力があるという悪役は例をあげればきりがない。最近では成田祐輔もこのタイプに入る。何故みんなが彼に熱狂するのかこの映画を見れば分かると思う。

毎日のようにウクライナのニュースが流れているが、こういうのを見ると「確かに人間なんてアリのように殺されていく小さい存在なんだな」といやでも認識させられる。「領土の拡張=自国の繁栄」という前時代的な考えに基づく、正に老害以外の何物でもないプーチンの思想でこの戦争は始まっている。でも誰にも止められないこの無力感。

決して昔の古い映画ではない。機会があれば是非見て欲しい。プラネットプラスワンでは9月19日に最終上映される予定。