映画監督北野武誕生「その男、凶暴につき(1989)」

シネ・ヌーヴォの「上野昻志による異貌の日本映画史『黄昏映画館』」から。35ミリフィルムでの上映なので、ところどころ傷あり。

当時、このタイトルとポスターをパロディすることが流行ったのを覚えている。

といっても観るのは初めて。バイオレンス映画は今も苦手。ヤクザとかまったく興味ないし。但し、この映画を観ると北野武の人となりがよく分かるので、結果としては観てよかった。

30年以上前の映画なので、みんな若い!ビートたけしってこんなにカッコよかっただろうか?今では映画やドラマには欠かせない遠藤憲一寺島進も若い。

とにかく普通の映画とは様子が違う。「ん?んん?」とずっと言いながら私は観た。まず最初から最後まですんなりとは見せてはくれない。歩くシーンや走るシーンが「そこまで尺必要?」と思うぐらい長めに撮っていたりとか、バイオレンス映画だと思っていたら前半はちょっとまぬけなコメディだし。

川上麻衣子演じる妹が、多分北野武にとっての「理想の女性」ということになるだろう。どこまでもピュアで精神的な支えになってくれる存在。でも扱われ方がひどいなあ。そして男同士のホモセクシュアルな関係性も匂わせている。清弘はゲイだが、仁藤に片思いしているのは間違いない。

最後2人がやり合うシーンは、構図や照明含めて凝ったつくりになっていた。やっぱりバイオレンス映画には美学が必要。

それにしても2人ともなかなか死なない。弾はかなり命中しているのに全然死なない。実はこれも笑いのネタなのかと思うくらいだ。

そしてエンディングロールに被る画面が、謎の美人秘書というのも「?」だった。

なんでやねーんw