複雑な構成に唸る「複身犯(2021)」

台湾文化センターが主催する2022台湾映画上映&トークイベント「台湾映画の"いま"〜〜革新と継承〜」の第3回目としてこの映画が登場。

2021年の台北電影獎と金馬獎にノミネートされており、台湾での一般公開は2021年2月。

全ては主演の楊祐寧(トニー・ヤン)の演技力にかかっているといっても過言ではない。1人で何人もの人格を演じ、しかも途中から更に新しい人格も登場するので演じ分けがたいへんだ。特に陳以文(チェン・イーウェン)を演じる時は本人そっくり。

あとは1人の人間に複数の人格を移すという設定を、観客に納得させられるかどうかだろう。このあたりは美術と撮影の技術力でクリアしていると思う。

ロケ地は台中市。バス炎上のシーンはCGも足されていると思うが、実際に爆破させて5台のカメラで撮っている。

監督はドラマ「麻酔風暴」「麻酔風暴2」の 蕭力修(シャオ・リージョウ)。カメラマンでもあるので、映像が超かっこいい。

主演以外の俳優陣も実力派揃い。強面のおっさん刑事もよかったし、ヤクザのボス役の龍劭華(ロン・シャオホア)も短い登場だったが印象深い。彼は2021年9月14日にお亡くなりになっている。

強面だけどお茶目な役がうまかった。ご冥福をお祈りします。