東京国際映画祭で「兎子暴力(兎たちの暴走)」を観る

最初は観る予定にはなかったが、朝通りすがりの入口のポスターを見て、その場で観ることに決めた。

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私の写真の撮り方が悪かったわけではなく、もともとこういうデザイン。

2011年に南京で実際に起きた誘拐殺人事件が元ネタ。それを四川省攀枝花に場所を替えて撮影。このロケ地が新旧入り混じっていてとてもおもしろい場所だった。

話の中心はダンサーの母親と高校生の娘、そして娘の親友2人だ。監督も女性なので、美術や小道具にも気を使っていて、物語の進行も登場人物の心情に沿って丁寧に進められている。

脚本も監督自身が書いていて、脚本の段階で起承転結の結の部分を冒頭に持ってくることは決まっていたそうだ。まだ自分が赤ん坊だった時に家を出た母親と再会し、親友たちと一緒にトンネルに向かう部分がクライマックスで、その後は坂道を転がるように母親のダメな部分が露呈していく。それでも何とか母親を救おうと犯罪にまで手を染めようとする高校生の決意が胸を打つ。

そういった物語の構成が秀逸で、失われていたものを獲得してまた再び失われそうになった時の人間の行動心理を上手に描いている。途中で母親と娘の役割が逆転して、必死に母親を守ろうとする娘が健気。実際の事件でも母親は早々に自白したのに、娘はかたくなに母親を庇っていたらしい。

母親役の万茜(ワン・チエン)は今回もすごく良かった。黄覚(ホアン・ジュエ)の侠気のあるチンピラ兄貴の役も良かった。映画「南方車站的聚会(鵞鳥湖の夜)」にも2人は出演している。そこでの黄覚はスケベで有無を言わせないコワモテ役で、一瞬だけの出演だったが存在感はピカイチだった。

中国本土ではまだ上映されていないので、情報はネット上でも少ない。この手の映画は大都市でも公開は難しい。2週間上映されればいいほうだろう。

TIFFトークサロンでは申瑜(シェン・ユー)監督をゲストに迎えた動画が視聴可能だが、残念ながら監督の音声が小さすぎてとても聞きずらい。

2020.tiff-jp.net

文字のみのインタビューの方が分かりやすいかも。

2020.tiff-jp.net

画像の通りまだまだ若い監督なので、今後に期待だ。ジャンルや形式にはこだわらないそうなので、ドラマの監督とかもあるかもしれない。