海外でも紹介されていて高評価らしい。多分日本でも近いうちに公開するだろう。
一瞬、白黒映画かと思うくらいモノクロを基調とした映像。張芸謀の時代劇はいつもどの場所も均一に明るくて照明に奥行きがない。そこに薄~い素材で印刷した屏風や幕が部屋いっぱいに広がっている。登場人物たちも基本モノクロの衣装で、水墨画を布にデジタルプリントして衣装に仕上げたような感じ。もしワダエミさんが担当していたら、また一枚一枚手染めしてくれたかもしれないのにと思う。
撮影場所は北京のスタジオと、ロケは湖北省の各地。
主演は鄧超(ダン・チャオ)。1人2役出ずっぱりなので、鄧超が好きな人は思いっきり楽しめる仕上がりになっている。しかしこの人の演技は鼻につくというか、かっこいい自分を捨てきれないところが難点だった。流石に今回は監督が張芸謀なのでその部分はクリアできたが、相変わらず熱量はすごい。昭和の役者さんはこういう熱い演技をする人が多かったが、最近は素と演技の境目が曖昧なほうが評価されるし、私もその方が好きだったりする。
その鄧超の相手役は実生活でもヨメの孫麗(スン・リー)。こちらはドラマでよくやるオーバーな演技をグッと抑えて、2人の男の間で揺れる女心をうまく表現している。
バカ殿かと思いきやのどんでん返しは予想通りで面白かったし、そこからまたひっくり返るのも良かった。最後孫麗のカットで終わるが、解釈は人それぞれ。
武器を使って坂道を駆け降りるシーンは中国人の観客からも笑いが漏れていたw前作「長城(グレート・ウォール)」の孔明灯(ランタン)レベルの張芸謀なりの娯楽ギャクなんだろう。
追記:日本では2019年9月6日から公開。