台北電影節で「再見瓦城(マンダレーへの道)」を観る

台湾では去年公開。大陸では短い予告版しか見られず、ずっとモヤモヤしていたがやっと見ることが出来た。日本でも2016年の東京フィルメックスで公開。

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不法労働者の実態を描いた映画。社会の底辺にいる彼らに世の中は容赦ない。

華僑というと世界中でファミリーネットワークを駆使してお金を儲けているというイメージがあるが、ミャンマーではタイに不法入国するほど貧しいらしい。

同じ不法入国者でも阿國と蓮青は考え方が全然違う。それは多分阿國の家のほうが裕福だからだろう。タイに着いてすぐバイクとケータイをもらえて、工場には役職についた親戚がいる。だから蓮青ほどがっついていはいない。しかし蓮青には養わなくてはいけない家族がいる。高校まで出ていながら不法な出稼ぎに行かないといけないのだから、かなり逼迫しているのだろう。なのでどんどん2人の気持ちがすれ違っていく。

このあたりの不法入国者の気持ちはよく理解できる。大陸でも台湾でもビザを取得するのはたいへんだから。もうね、ビザを手に入れるまでは眠れないから。やっともらっても期限付きだから先がまったく見えない。恐いっす。

そこに加えて、闇ブローカーや詐欺師、賄賂を求める役人たちが不法入国者の上前をハネようとわらわら寄って来る。

こうなったらもう女の子は風俗やお水に走るしかない。もし好きな女がそうなるのがイヤだったら自分が彼女のすべての面倒を見ればいいのだ。そこまでの甲斐性もないのに、単に自分から離れて欲しくないという阿國はとても自分勝手だと思う。まあ男から見るとまた違った感想になると思うが。

薬物使用で一時干された柯震東(クー・チェンドン)が、映画の中でラリる役を演じている。映画の設定では多分覚せい剤だと思うが、かなり凄みがあった。このあたり彼の復帰に対する本気度が見て取れる。