突き抜けない青春映画「我的青春期(ぼくの桃色の夢)2015」

f:id:mingmei2046:20161112172211j:plain

2015年の東京国際映画祭で上映。

「青春初恋映画」は毎年たくさん制作されて、過去の名作も多すぎて若手監督が挑戦するのは少しリスクがあると思うが、それでも撮りたくなってしまうのは青春のなせる業なのか。

舞台は河北省の田舎町。80年後(80年代生まれの人)の青春を描いている。しかしエピソードが超個人的過ぎて

「どさくさに紛れて己の伝奇を美化して映画にした」

としか思えなかった。もともと大陸の青春映画は感情移入がしにくい。例え同じ中国人でも経済格差と地域格差が相まって、共感できる共通項がとても少ないのだ。

中心の初恋の話にしても、何故この女の子が主人公を好きになったのか全然分からない。更に分からないのは、その主人公をフッて別の男と付き合うことだ。相手は全然かっこいいわけでもない田舎でよく見かけるような男なのに。

若い頃は非モテ系だったであろう男性監督の作品にはよく「謎の美少女」とか「ミステリアスな美女」とか登場するが、ただ単に女性が描けないだけだ。岩井俊二のようにモテ系で尚且つ心に乙女が住んでいるような男性監督はまた違うと思うが。

その後この女の子は迷走し、最後映画監督になった主人公にいいよるが、これって単なるダメンズ好きだろう。これでは中身が空っぽのかわいこちゃんで終わりだ。主人公が分かれた後も何年も片思いするのはその容姿のせいだけなのか?(この主人公なら、そうかもしれない・・・)

それでも映画のラスト、これも完全にファンタジーに現実逃避しているんだけど、その逃げ切り方が潔かったので、最後の最後で全体の評価がぐっと上がってしまった。

きれいな絵が多いし(カメラマンさんのおかげ)、駄作というわけでもない。もう少し「那些年,我們一起追的女孩(あの頃、君を追いかけた)」的なお馬鹿で性的な内容もあるのかと思ったが、大陸では無理なのかな。