「被偷走的那五年」を観る

交通事故で5年分の記憶を失った主人公が、記憶と愛情を取り戻す物語。
監督は香港人の黄真真。主演はジョゼフ張孝全と白百何。ロケは台湾。
なのに映画の雰囲気はかなり大陸的。広告代理店勤務の20代のカップルが住むには不釣合なくらい豪華な一軒家や、入社して6,7年で会社の重要なポストに昇進するなど、まさに大陸映画にありがちな設定。
黄真真監督は以前「女人本色」を撮っているが、これもかなり大陸よりな作品。しかしこの監督まだ若いのに、音楽の使い方といい演出方法がいちいち古くさい。電話をかけるシーンで左右に人物のアップを置いたりとか、一番ひどかったのが2度目のプロポーズの時の妻の表情を左上の小さい画面でずっと映したりとか。まったく工夫が無い。
脇キャラもいいかげんで、その中で阿KENはかなり健闘しているほう。安心亞はもっと深く掘り下げればいいキャラになったはずなのに、結局花瓶で終わり。
主演2人の実力は申し分なく、それに監督の力量が追いつけてない状態。
話も継ぎ足し継ぎ足しで進んでいき、行きあたりばったり。最後あそこまで悲劇にする必要はあったのかどうか。
観るべきところはやはり主演2人の演技で、自然体で大熱演している。ラブラブなバカップルから始まり、記憶喪失の間の複雑な関係性の中から、強い結びつきを持った夫婦へと変わるその移り変わりを見事に演じきっている。