「逆光飛翔」を観る

全盲の天才ピアニストのお話。主人公の黃裕翔は本人。監督は俳優に演じてもらうことも考えたが、リアリティがなくなるのでそのまま本人に演じてもらうことにしたらしい。黃裕翔はもちろん素人だが以前ドキュメンタリーに出演しているので撮影には慣れている。
彼が台湾で初めて全盲者として大学に入学するところから話は始まる。受け入れる大学側も身体障害者に対して万全の対応とはいえない。それでも少しずつ友達に囲まれながら新生活に慣れていく。
そこにもう一人の主人公小潔がからんでいく。ダンスが好きだが家がそれほど裕福ではないため一度は夢を諦めたが、黃裕翔に触発されてもう一度挑戦していく。
とても素直に丁寧に撮られた映画である。まずピアノをメインにした音楽が素晴らしい。輪郭をあいまいにした光が揺れる映像も幻想的。
サブキャラが実におもしろい。小潔がバイトするジュース屋の店長とか、黃裕翔のルームメイトとか。通販にハマっている小潔のママもいい味だしている。
映画の帰りにビュッフェ式の食堂にいったらTVで黃裕翔のニュースをやっていた。25歳になった今はCMの音楽を担当したりしている。そのCMが普段よく見るCMだったのでぐっと親近感が持てた。