「Hello!樹先生(Mr.Tree)」を観る

香港亞洲電影節から。「万有引力」とは真逆の農村のお話。
最後に韓傑監督との質問コーナーがあった。
「撮影するに当たり、具体的にどの点を変更させられたんですか?」という質問があった。「変更したのは2箇所。主人公が農村で余って結婚出来ない男というのを変更したことと、幽霊を出せないので主人公の幻想にしたこと。」という答えだ。
この2点の変更が無ければとてもいい映画だと思ったのは自分だけではないらしく、他の観客からいくつもこの点で質問が出てきた。
「幽霊が見える」というのと「精神に異常をきたして幻想が見える」というのでは「ドラえもん」の話が「実は植物人間になったのび太の夢だった」というのと同じくらい違う。なので笑えない。多分本来ならブラックユーモアたっぷりで(その片鱗はいくつも見受けられる)中国の田舎の生活を忠実に再現していたのにと思う。
主人公の樹は王強宝が演じていている。コミカルな演技の中に悲哀を滲ませていて、演技に奥行きがある。
中国映画に幽霊を出せないというのは広く知られていることで、経験のある監督だったらその辺りもうまく処理できたのだが。次回作を期待したい。