バックレ中国人

朝の7時前に何度もトレイシーの電話にショートメールが入る。しかしトレイシーは夢の中である。その後電話がかかってきた。
電話を切った後、トイシーは怒り心頭である。もともと朝は機嫌悪いんだけど。
実は河北省出身の同僚からの電話で、仕事をやめるという内容。
この人はじめから全くヤル気なしで、初めて映画の仕事に関わるというのに自分から仕事の仕方を訊くこともなく、それなのに「俺はやれば何でも出来る」という根拠のない自信だけはあるという困った人だった。
オフィスに行けば事務の女の子にも俺は辞めると電話していて、トレイシーがこんな朝早くにボスに電話するのはやめてくれとわざわざ忠告したのにやっぱり電話してたりとか、とにかくわけが分からない行動も発覚。
自分の荷物はその前の晩にきれいに持っていったが、会社の机の鍵やらメモリースティックは行方不明。事務の女の子から借りていたノートパソコンは部屋に置きっぱなしだった。
撮影の仕事に限らずある日突然いなくなるのはよくあることだ。そういう人に共通するのが、自分の能力が分かってないのに自信たっぷりというところ。「これは自分がする仕事じゃないね」が口癖。
ああ、またかって感じだ。