「敗犬女王」と「人のセックスを笑うな」

福建行きが4月になったので家でためていたドラマと映画を観る。
「敗犬女王」は言わずと知れた超有名台湾ドラマ。33歳バリキャリの負け犬と8歳年下職業不定彼氏との恋愛ドラマである。
まず最初のつかみがうまい。33歳なのにセーラー服でさっそうと登場。その後8歳年下のルーカスとのベッドシーンで盛り上げる(でも未遂)。
それで最初は主人公單無雙の負けん気と口の悪さに引いたが実は性格はとてもいい。見た目は強そうに見えて実は中身はか弱いというのはドラマの鉄板法則だ。
その後6年前に消息を断った元彼氏の登場など波瀾万丈な展開があり(イケメン2人が自分のために殴り合いのケンカをするのも人気ドラマの王道だ)、最後はハッピーエンド。
テレビドラマは一話終わった後、「この後どうなるの?来週まで待てないっ」と一週間悶々とするのが醍醐味だが、台湾ドラマは話が長いので続きは見たいけど休み休み見ないと体がもたないのでやっぱり悶々する。
毎回盛り上がりどころがあってサブキャラも光っているので高視聴率は納得である。で、大陸で放送出来ない理由も納得。ベッドシーンと下ネタは絶対カットだろうな。
同じ年下との恋愛もので「人のセックスを笑うな」も観る。タイトルからするとこれもコメディかと思ったが、みるめが真剣で純粋すぎて笑えなかった。
これもゆり目線で観るかみるめ目線で観るかで話が変わって来ると思う。私はみるめに同情してしまう。「あー、やっかいな女にひっかかったな」って。ゆりは本能で恋愛しているように見えてあれは全部計算である。2人きりのときはストーブの火もつけられないとぶりぶりぶりっこだが、学校ではみるめの濃厚キスをするりと受け流す。そんなこと39歳の女には難なく出来ることなのだ。でもそれは19歳のみるめには分かるはずもなく。
そこでこの話を男女逆転して考えるとすんなりする。しっかりものの妻を持ったすごく年上の男と不倫する女子の話だ。自分の前では夫婦として仲良さそうだけど、自分とのセックスも続いている。男の気持ちが分からずに混乱する女子なんて昔から掃いて捨てるほどいた。実は簡単で相手は妻も自分も欲しいだけ。
なのでこの映画は全然新しくないのだが、それは例えば映画のカメラアングルとか美術もそうで新しいものが何も無い。昭和レトロな美術が流行って久しいがこれは古過ぎ。せめてみるめの子供時代1990年代ぐらいにしておくべきだろう。あのラジオはゆりの子供時代でももうない代物である。あと無理に設定をいなかにしなくてもよかったのではないか。各地にフィルムコミッションが出来てロケがしやすくなっているが、ここまでいなかにしなくてもよかったのではないか。いなかの良さより貧乏くささが滲み出ている。
俳優がみな実力派揃いで登場人物を最低人数でまとめているので演技は見応えがある。