中国での恋愛映画の難しさ

昼間テレビで章子怡主演の「非常完美」をやっていたので観る。
印象としては「中華レストランで「アメリ」を無理矢理頼んだらこれが出て来た」という感じ。
これを観て何が中国での恋愛映画を難しくさせているのかが分かった。それは住宅事情。
オサレな恋愛には一人暮らしが最低絶対条件。この映画の中でもみんな1人暮らしである。それぞれ職業が医者(元恋人)、人気女優(恋のライバル)、有名カメラマン(次の恋人)、漫画家(主人公)で、それぞれかなり広いマンションに住んでいる。しかしこんな家、普通の人なら一生かかっても住めない。
映画の最後の方に北京の病院の看板が出てくるので場所設定は北京らしい。でもその病院の看板以外に北京くささはいっさいないのでてっきりアメリカかと思った。
もちろん中国は階層社会なので20代でランボルギーニカウンタック乗り回している奴とか、パパが社長で家にベンツが4台あって自分はアメリカに留学中な女の子とかが確実にいるのは知っている。でもそういう人たちの恋愛事情には興味が持てない。
ブコメだし、おとぎ話だし、主人公のパジャマが毎回違っていたりしていてもそう言う映画だと思えばいいのだろうが、でもこの手の映画を観る度にすごくいらいらしてしまう。「君ら一体何者やねん」と。
いらいらの原因の一つには、今の北京ほど物語が誕生する場所は無いのに、それを無視してアメリカ映画の真似をしていることである。
20代の中国人が「これって私のこと?!」と思える中国映画がまったくないというのは不幸なことだと思う。