香港が舞台の映画「PUSH」

毎日暑いが今はそれほど忙しくなく割とのんびりしている。何となく小学生の夏休み気分だ。
それで空いた時間にエスパー映画を見た。とある組織から追われながら自分の未来を変えるべく美男美女のエスパーが力を合わせて戦うのだ。そういうとかなりB級な匂いが立ちこめるが、全体にまんべんなくお金がかかっているのでチープ感は薄い。
話の9割がた香港が舞台で、お馴染みの古い高層住宅や街市(食料品を売る市場)が登場する。大暴れするアクションシーンはもちろんセットだが、実にリアルに出来ていて嘘っぽさがないのがうれしい。ジャッキーチェンの映画でも「あ、ここからセット」と分かってしまうことがあるが、この映画はロケとセットの繋がりも自然だ。
主人公が住んでいるアパートのごみごみ感とか、街角の掃除のおばちゃんとか、西洋人が欲しいアジアの風景は「ブレードランナー」の時から全然変わっていない。よくヨーロッパ帰りの人が「日本の街の景観はなってない」的な発言をするが、映画で撮りたいのはまさにその猥雑感だ。なので渋谷のスクランブル交差点も大阪のグリコのネオンもそのままでいい。
香港もだいぶ区画整理されたので前よりロケ場所を探すのは難しいのではないか。でも西洋人が大勢集まって大暴れしても、まわりはたいして気にしないのは香港ぐらいかも。
そしてメインの一人、ダコタ・ファニングがとてもいい。周迅(ジョウシュン)や安達祐実と雰囲気が似ているのは、同じ天才子役だからか。
あまり期待せずに見た割には収穫の多い映画だった。