改革開放30年を振り返る

12月に入って急に「改革開放30周年」記念番組が放送されている。9月までオリンピックでテンテコ舞いだったわけで、「あれ、そういえばさぁ‥…」って感じで急に思い出したんだろう。
鄧小平の鶴の一声で始まったのが1978年。そこから中国は一気に市場経済に飲み込まれていく。特別番組は歴史のおさらいも出来て丁度いい。
全体的には「ホラ、30年でこーんなに生活が向上したでしょ。それもこれも中国共産党のおかげなのよ。」というイメージで作られていて負の部分は隠されている。それでも繕いきれない部分からチラチラ影の部分が見え隠れしているのが何とも中国らしい。
例えば中国中央テレビCCTV1)で放送されている「繁花」という打工妹(若い女性の出稼ぎ労働者)たちのドキュメンタリー。この中で様々な打工妹が悪質な就業環境にも負けずにがんばる姿が映し出されている。この番組で言いたいのは「改革開放のおかげで工場がたくさん出来、そこで働いて現金収入と技術を手に入れ、農村にいたのでは無理な快適な生活を過ごせるようになった」という事だ。しかし同時に登場するのは悪徳工場で軟禁されて働かされたり、毎日14時間働いているのに1年以上給料が払われなかったり、家が貧乏で小学校までしかいけなかったりという打工妹ばかりだ。しかもどれもここ最近の話なのだ。つまり打工妹の就業環境は今も昔もまったく変わっていない。
中国の貧困区と言えば内陸の省を思い浮かべるが、実際は北京の隣の河北省や安微省もかなり貧しい。というか中国の農村はどこに行っても貧しい。生活が向上したといっても大都市のみで、それは大きな国土の中では点にすぎない。
地域格差」「教育格差」「収入格差」の3つがミルフィーユのように折り重なって、北京にいても中にたくさんの国があるみたいだ。