「色、戒(ラスト、コーション)」香港版を観る

午前中やっと完全版「色、戒」を観る。もう大陸版と全然違うよ!こっちの方が登場人物の気持ちの移り変わりがよく分かる。本番疑惑も出たセックスシーンにばかり話題に上るが、それはそんなでも。中国映画にはよくある、腰の動きは激しくて格闘技のようだがいやらしくはないという。湯唯にわき毛が残っていたのはリアル上海だ。セックスをテーマとした映画にありがちな「美しい芸術映画」というよりむしろ記録映画に近い。「野生の王国」とか?
最初は易を誘惑して暗殺するチャンスを狙うためにセックスに応じるのだがそれが変化してどんどん自分でコントロール出来なくなってゆく。易を好きになってしまったわけでもないのに(易はマジで惚れたが)、彼とのセックスはやめられない。そして混乱したまま破局に向かう。
「セックス」と「愛」は別物なので、この映画を「ラブストーリー」でくくるのは無理だと思うが、日本での宣伝はしっかりそうなっている。宣伝の定番だけど、この映画は「愛」については一切描かれていない。「色」と「戒」だけ。それだけだ。
中国大陸では香港版のセックスシーンがネットで流出したと大騒ぎしているが、これも「戒」あっての「色」なので、「色」だけ抜いたって全然意味がない。
私が好きなのは最後奥さん役の陳沖(ジョアン・チェン)がおろおろしながら易に語るところ。姜文監督「太陽照常昇起」のフェロモン全開女医もよかったけど、この易太太も憎めなくて好き。