パンツをはかない女「ラストタンゴインパリ」

20歳前後にフランス映画を集中して見た時期がある。そして出した結論は「アムールの国の映画はよくわからない」だった。もしかしたら私が若すぎたのかもしれない。見た映画はどれも評価の高い映画ばかりだったのだから。その中で「髪結いの亭主」「デリカテッセン」「シベールの日曜日」は今でも好きだ。しかし「ボンヌフの恋人」「仕立て屋の恋」になるともうわからない。ある友人いわくフランス人が考える愛は何百万通りもあるらしい。さすがアムールの国である。
その友人と映画「ブレノスアイレス」の話をした流れで「ラストタンゴインパリ」の話が出て来た。有名な映画だがきちんと通しで見たことがなかったので、今回きちっと観ることにした。
公開は1972年。「ラストエンペラー」のベルナルド・ベルトルッチが30歳の時に撮った。主演はマーロン・ブランド。公開当時はエロか芸術かで揉めたというからいかにも牧歌的で70年代らしい。実際セックスシーンは少ない。しかもセックスの時は2人とも服を着たままだし(なぜだ)。裸で抱きあう有名なシーンは単に抱きあっているだけだ。
ストーリーの解釈は人それぞれ。しかし物議を醸し出した映画の割には設定は古典的だ。男が現実逃避して非日常の場所を作りそこに女が加わる。そして女は途中で目が覚めて現実に戻ろうとするが、それを男が拒否して最後はああなる。「ナインハーフ」もそうだ。女に棄てられることがわかってから、べらべら自分の過去とか語り出しそれが却って「2人の終わり」を決定付けてしまう。
フランス映画においてこういった2人の関係を「愛」だと言われるから、私は「わからない」と言わざるおえないのだ。ホントにそうなのか?
そして多分渡辺淳一は自分をフランス人だと思っているに違いない。