九条で1週間のみ上映だったので、慌てて観に行く。
あの時、香港で実際何が起こっていたのかよく解かる映画。
2014年は台北で働いていた。当時どきどきしながらニュースを観ていた。長期化するに従い、世間の学生たちに対する風向きが変わっていくのにはらはらした。
天安門事件もそうだったが、デモは長期には向いていない。次第に仲間割れをして内部崩壊してしまうのだ。
デモの主流は大学生を中心とした若者だが、親世代がデモに参加しない理由もこの映画の中で語られている。というかデモに批判的だったのがこの親世代だった。
それが今年の200万人デモにはこの親世代も積極的に参加していた。重装備の警官たちの前で涙ながらに説得を試みようとした香港のオバちゃんは、動画になって世界中に拡散した。
雨傘運動は誰も成功するとは思っていなかった。それでもやらなくてはいけないんだと若者たちは立ち上がった。そして予想通り政府がデモの要求をのむことはなく、その後の世界も変わらなかった。
そして雨傘運動は過去の出来事の1つになってしまったのかと思った。でも実は終わっていなかったのだ。人々は雨傘運動で多くを学び、それが今年の大規模なデモに繫がったのだと知り、感動した。
もちろんこのデモで中国当局が方針を変えることは不可能だ。しかし「一国二制度なんてチョロい」と香港を甘く見ていた役人たちはやり方を変えてくるだろう。今でも大陸からの新移民を毎日香港に大量に送り込んで、「香港の大陸化」に必死だ。新界(ニューテリトリー)に親中派が多いのもそのせいだと思う。そうなると普通選挙が実現してもその大量の「なんちゃって香港人」のせいでやっぱり当局の意向に沿った人選になってしまう。
そんな香港の現状と未来のために、多くの人がこの映画を観てくれることを願う。