饒暁志(ラオ・シャオジ)の長編映画デビュー作「你好、瘋子(The Insanity)(2016)」をネットで見る

映画「無名之輩」が良かったので、その前の作品も見てみることにした。

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舞台の映画化。こちらも演技派揃い。基本的にはワンシチュエーション映画。精神病院に閉じ込められた7人が何とかして自分は正常だと証明して脱出を図ろうとする物語。

密室の中で繰り広げられる暴力と策略。そのカギを握るのがいつも怯えている安茜(アンシー)だ。

7人は時には対立しあい、時にはお互いに協力しあって何とか病院から出ようと試みる。この辺りはコメディー。ちょっと「CUBE」っぽいなと思いながら見ていくと、後半超シリアスな展開になり、涙腺の弱い人なら号泣するような結末で終わる。

安茜というとても難しい役を演じるのは、大陸ドラマにひっぱりだこの万茜(ワン・チエン)だ。後半は彼女の独壇場で、カメラに向かっての長めの1人芝居も演ってのけている。

饒暁志にとっては自分が演出した舞台の映画化でかなり自信を持っていたのだが、評価が高い割には客足は伸びずヒットしなかった。だってタイトルが良くない。「瘋子」って「狂人」とか「キチ〇イ」の意味だもの。饒暁志の舞台には他にも「你好、打劫(強盗)」というのがあってシリーズになっているのかもしれないが、普通の人はそんなの知らないって。

最後、安茜が精神病院から離れる日、他の6人を乗せたバスが彼女の脇を通り過ぎていく。これが「マイクロバス理論」まで知っての演出なのか気になるところ。

いいシーンだ。