張艾嘉(シルビア・チャン)監督作品「相愛相親(妻の愛、娘の時)」をネットで観る

2017年11月に公開して評判の良かった映画。日本では2017年東京フィルメックスで上映された。

f:id:mingmei2046:20180330210407j:plain f:id:mingmei2046:20180330210421j:plain

イラストバージョンのポスターもいい感じ。

祖母母娘の3世代に渡るラブストーリー映画でありホームドラマでもある。

祖母が死んだ後、田舎にある祖父の墓を移し祖母と一緒に埋葬しようとしてのてんやわんやがベース。実はおじいちゃんには先妻がいて、どうもきちんと離婚の手続きをせずにおばあちゃんと結婚したらしいのだ。先妻は妻の座の正当性を主張して墓の移転に大反対。そこに娘が働いているテレビ局が取材しようとして更に大混乱になる。

うやむやにしたまま再婚したおじいちゃんが一番悪いのだが、こういう人って結構な数いると思う。

キャスティングが素敵。夫役には映画監督の田壮壮(ティエン・チュアンチュアン)。呼ばれて本人が一番びっくりしたらしいが、これがとても自然で普通ないいお父さんになっている。

娘役は「華麗上班族(香港、華麗なるオフィス・ライフ)」「非凡任務(ミッション:アンダーカバー)」にも出演している朗月婷(ロウ・ユエティン)。複雑な立場の役だが表情が細やか。

その他に都会の弁護士役にベテラン李雪健、役所の窓口には王志文がちょこっと登場。劉若英(ルネ・リウ)もご近所の奥さん役で出演している。

主役の母は監督兼の張艾嘉(シルビア・チャン)。毎回そうだが、更年期のおばちゃんが右往左往する演技がホントうまい。若い男をわざと自分に絡ませたりするのは、同じおばちゃん層を狙っているからに違いない。市原悦子みたいにw

そして先妻役のおばあちゃん、呉彦妹の存在感。結局もう死んでしまった夫の愛情の取り合いなのだ。「私のほうが愛されていたんだ」という証明が欲しかった。そんないじらしい感じがひしひし伝わる。

ロケ地は河南省鄭州。最近は都会と言っても北京で撮影することはほとんどない。交通渋滞と空気汚染のせいだろう。そこに映像の魔術師李屏賓(リー・ピンビン)がカメラを担当しているが、今回は「おお~!」というショットは少なめ。でも光の加減がきれい。

最後のドライブのシーンがかなりいい。他人には入り込めない夫婦の歴史がそこにあって、こういうのを見ると結婚ていいかもなと思う。

追記:日本では2018年9月に一般公開。邦題や日本版ポスターはちゃんと昔から中国映画が好きな人の目が留まりそうな仕上がりになっている。