中国映画祭電影2018にて大阪で上映。この時点で大陸での上映計画はまったく白紙だった。じゃ、日本で観なくっちゃね。
この映画も「心迷宮」と同様一筋縄ではいかない。失踪した息子を探す男と、違法な鉱山経営をするヤクザな社長、その顧問をする弁護士が三つ巴になって展開する。
いろんなところで肉が象徴的に登場する。火鍋屋の仕込み、高級火鍋レストランのスライサーなど。全体的にバイオレンスなイメージだが、そこに親子愛を絡ませて一般の観客を引き付けている。今回も伏線の張り方や構成が考えつくされている。唯一2人の子供の最後のシーンがブレていたのが惜しい。生かすか殺すか監督自身の迷いがそのまま出たような感じになってしまった。
姜武演じる悪役社長は単純な悪役ではなく、重層的なキャラである。でもヅラは反則だろうwwwと思ってしまった。
口がきけないのにケンカがすこぶる強い父親は、やられてもやられても立ち上がる。
気の弱い弁護士は娘思いだが最後まで卑怯だった。
サブキャラの社長の子分、アイパッチの火鍋屋のキャラも際立っていた。
構想としてはデビュー作の「心迷宮」よりも先だそうで、物語の設定は2006年。予算の関係で先に「心迷宮」を撮ったとQ&Aで監督が語った。
そんなQ&Aの時の監督はかなり辛辣。「単純な映画を観て楽しみたい方は、他にたくさん単純な映画がありますからそちらを観てくださいね。」と、かなり挑発的。今の大陸マーケットに対する監督の憤りだろうと思われる。多分この監督は中国に向いていないかもしれない。規制のまったくない場所なんて世界を見てもほとんどないだろうが、もっと自由に傑作を撮って欲しいと思った。
去年一旦流れた大陸での公開日も再び決定した。少しは波紋が広がることを期待している。
「心迷宮」の感想はこちら。