たくさん映画を観ている方だと思うが、それでもやむなく見逃した作品もかなりある。なので今回大陸にいる間に動画サイトでいっぱい見てやる!と意気込んで来ている。
それで見つけたのがこの2作品。もうず~~~と香港に行くたび、いなかのVCD屋さんとかで探していたが見つからず、やっとここで出会えた。
「三個相愛的少年(ぼくたちはここにいる)」は1999年に日本でもちょっとだけ公開された。フライヤーだけ持っていたが観には行けなかった。すごく心残りだったのは覚えている。
「沙甸魚殺人事件」
沙甸魚は主人公のニックネーム。ストレスフルな香港の生活の中で息の詰まった生活をしている。しかし本人が苦しいと思っている割には条件がいいのだ。美人でしっかりものの彼女がいて、もうすぐ昇進出来そうなスーパーの仕事もある。しかしそれが小心者の彼にとってはプレッシャーでしかない。そこにアル中の大家が部屋に押しかけてきて自分の部屋で死んでしまう。そこで警察に連絡すればいいのに隠そうとするから、最後は近隣を巻き込んだ自殺騒動にまで発展してしまう。ここで後ろ暗い警官を演じるのが廖啓智(リウ・カイチー)。若いなー。この頃からチョイ悪な人物を演じるのがうまかったんだな。
最後、缶詰を思いっきり投げ飛ばしてすっきり。
「三個相愛的少年」
仲のいい幼馴染の3人はそろってゲイ。でもそれぞれちょっとタイプが違う。役者志望の阿九はオネエ。売れない脚本家花仔はウケっぽいゲイ。如海は男女両方からモテまくるバリキャリだが、会社では自分がゲイであることを秘密にしている。平和に3人で暮らしていたが、阿九がエイズになってしまう。それを機会に生き方を見つめなおす3人だった。
1994年当時のゲイを取り巻く環境が理解できる作品。今でも同性愛者に対する偏見は無くなっていないが、この当時はもっと風当たりが強い。なので如海が今まで女嫌いだったのに急に最後女好きになるのにはムリがあるが、当時としてはこれが精いっぱいだったのではないかと思う。
阿九のヴィデオメッセージにはかなりグッとくる。葛民輝(エリック・コット)はこれで香港金像最優秀助演男優賞を獲得した。
2つを監督した趙崇基(デレク・チウ)はその後も地味だが堅実な作品を撮り続けている。
肩の荷が下りた感じで自分もすっきり。