顔さえ思い出せない息子の人生をあらためて父親が巡る旅。
日照は山東省にある地名で父親はそこで再婚して住んでいる。重慶は最初の結婚で住んだ街で、ここで息子がスーパーに人質を盾に立てこもり銃殺されてしまう。
息子の人生を探ることはすなわち自分の人生も見つめなおすということで、そこにあるのは親子の断絶と深い孤独だ。
父親が事件の関係者を訪ね歩くうちに、次第に息子の孤独と愛情に対する渇望の人生が見えてくる。
父親を演じるのはいろんな作品で引っ張りだこの王学圻(ワン・シュエチー)。
以前は大陸にいるその他大勢のオッサン俳優の1人としか見ていなかったが、「ヘブン・アンド・アース天地英雄(2003)」でのヒール演技で注目するようになった。この時で御年57歳だが、もう筋肉ムキムキ。
その後「十月圍城(孫文の義士団)2010年」でも、揺れる父親の心情を見事に表現していた。
息子のひりひりするほどの孤独感が観ていてせつない。小さい頃からかまってくれる人がいなかったので、他人との接し方も分からない。
「エミュー(ラクダみたいな鳥)が好き」て聞いたから夜中に動物園から盗んでプレゼントされたって、そりゃ驚くだけでうれしくないよ!逆に怖いって!!努力のベクトルがまったく別の方向に向いている。
でも本人にもどうすればいいのか分からないのだろう。だって小さい頃から教えてくれる人が1人もいないのだから。
秦 昊(チン・ハオ)は息子の親友役。こちらも親世代に反抗しまくり。でも密かに友達を救うことが出来なくて後悔している繊細な部分もある。
人質役は範冰冰(ファン・ビンビン)。この頃は演技派も目指していたが、最近は放棄している?感がある。
オチはどう持って行くのかなあと思ったが、前向きなエンディングだった。
何があっても人生は続く。