顧長衛(グー・チャンウェイ)監督映画「立春」(2008)

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大陸にいる間に、なるべく今まで見逃した映画を観るようにしている。これは主演の蒋雯麗がブサイクを演じるので当時話題になった。

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使用前と使用後。役作りで15㎏太ったらしい。

アメリカドラマ「アグリーベティ」のヒットの後、ブサイクキャラの主人公が流行ったりしたが、こういうのを見るとブサイクの定義が分かる。

肥満。歯並びが悪い。度の強い眼鏡をかけている。服とメイクと髪型がダサい。処女。等等。

ふだんの生活でものすごい美人になかなか出会えないように破壊的なブサイクにも出会えないものだが、この映画の主人公は半端なくブサイク。容姿よりその性格がこじれっぱなし。一応自分の容姿を気にしてはいるが、だからと言ってきれいになる努力はしていない。じゃあきっぱりあきらめているのかというとそうでもない。そして男性に対しては逆に自分が容姿で判断している。だからといって心底性悪では無い。う~ん、やっぱりこじらせているとしか言えない。

個人的に一番「うわ~~~」と思ったのが、若い男が泥酔した隙に乗じてセックスして、うきうきしている場面(上の写真)。後で大勢の前でその男に罵倒されるのだが、男にも同情してしまう。

普通の映画だと最初はブサイクだけど、徐々に見慣れて可愛くなっていくものなのだが、この主人公は最後までブサイク。このブレなさは蒋雯麗が考えたものなのか監督の考えなのか。男の監督がここまでブサイクを突き放して撮るのはすごいことだと思う。

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あ、この2人は夫婦。中国では監督と女優の夫婦がとても多い。

他にもバレエダンサーになりたい男とか、ガンになった少女とか登場するが、どれもしょっぱい人生だ。

時代背景は80年代の西北部らしいが、夢に向かってあがいてあがいて、でもたどり着けないなんていうのはいつでもどこでも同じだと思う。

私は「あきらめなければ夢はきっと叶う」とか軽々しく口にできない。

だってイバラの道だもの。