「聴風者」を観る

前作「風声」と違い華誼兄弟伝媒集団もいなくなり、スタッフキャストとも香港色が濃くなっていた。監督がアラン麦兆輝とフェリックス荘文強で、宣伝でも「無限道(インファナル・アフェア)」コンビということを強調している。
そんなわけでスタッフもしっかりしているし主演はトニー梁朝偉と周迅で手堅く、大作といってもいいぐらいなのに仕上がりはごく普通の映画になってしまった。
まず新鮮味がない。すでに人気となった小説、ドラマがあるので筋はみんな知っている。撮影は相変わらず上海の撮影所。梁朝偉×周迅もついこの間の正月映画「大魔術師」で観たばかりだ。
この主演以外の俳優が弱い。周迅の上司を演じる王学兵がどうにも薄っぺらい。脇役で昔の香港映画を知る人には懐かしい俳優が何人か登場するが、それも分からないとそれまでである。
最近の二転三転する展開の映画に慣れてしまった今では、この一回転しかしない内容もつらかった。一応サスペンスだし、「最後の最後でどんでん返しがあるに違いない!」とずっと思って見てしまった。でもあっけなく終わり。
そんなわけで「風声」と続き「聴風者」もTVドラマの勝ちである。ドラマは三部構成でまだ一番難解な部分が残っている。これもいつか映画化されるのか?