「All the Invisible Children(それでも生きる子供たちへ)」を見る

今では家で見られるTVのチャンネル数も増えて、よくマカオの映画チャンネルを見ている。VCDの荒い画面をそのまま流しちゃうようなTV局なのだが、映画のジャンルがフレキシブルなので、たまに「お」と思う映画を流している。
それでたまたま「All the Invisible Children」を見た。子供を主人公にしたオムニバス映画である。
どれも状況的には悲惨。特に両親がヤク中でHIV感染者で、その子供も出産を通じてHIV感染してしまう話がせつなかった。この両親がどうしようもなくて、愛情はあるのにそれを守るスキルを一切持っていない。「ママもパパもあなたのことを愛しているわ」と泣きながら言ったあとで、交互にドラッグを注射するのである。最低だ。映画「父子」の両親と似たり寄ったり。
このオムニバスの最後がジョン呉宇森で「お」と思った。
場所は大陸のどこかの都市。金持ちの一人娘と、捨てられてゴミ拾いのおじいさんに助けられる女の子のお話である。2005年の映画だが、中国ではホントありがちな話である。実際にこの頃北京で子供の花売りをしょっちゅう見かけた。
それで最後は子供の笑顔で母親が自殺を思いとどまるのだが、「何だ結局救われているのはダメな大人の方じゃないか」というオチである。
それぞれの映画も短いながら見ごたえがあったが、最後に呉宇森の作品が選ばれたのはこの分かりやすいメッセージのせいかもしれないと思った。