「キャタピラー」を観る

夜また高速バスで東京に戻るまでに金沢市内をぶらぶらする。金沢もドーナツ化がすすんで昔を知る身からすれば、市の中心部は侘しい感じがする。
ちょうど市内の映画館で夕方「キャタピラー」をやっていたので観る。大陸で負傷して帰ってきた軍人と妻の話。なので戦争映画だが大部分は日本の農村が舞台。寺島しのぶの脱ぎっぷりが話題になったがエロスはゼロ。体の自由を失って食欲と性欲しか残っていない男とそれに仕方なく付き合う女。夫婦とはいえお互いに愛情はないがそれでもずっと世話を続ける主人公の感情が複雑だ。
妻が主人公で夫婦2人がこれからどう生きるかという話なので、声高に反戦を訴えているようには感じない。この2人の間に愛情が少しでもあれば救われるが、逆に夫は暴力を平気で振るうような自分勝手な男として描写されていて、以前から夫婦関係は冷えている。
それでも後半に妻は泣き叫ぶ夫を抱きながら一緒に生きる決心をする。でもそれも愛情から湧き出た決心ではないと思う。責任感とか母性とか憐れみとか。
そういう妻の感情の変化に納得はいかないが、当時は男に従うのが常識だと思えば、そういうものなのかもしれない。
夜になり市内はますますひっそりとしていた。それでもホストくんが何人か営業で立っていた。大変だなあ。