中国映画の行方

映画「十月圍城」でネット検索をしたらこれがひっかかった。
NHKスペシャル チャイナパワー第1回〝電影革命″の衝撃」
http://www.nhk.or.jp/special/onair/091122.html
NHKは一体どこの国の公共放送なのかと前から疑問だったが、〝電影革命″と来たか。
中国で今映画産業の景気がいいのは事実。大作なら1週間の上映で1000万元(約1億3000万円)の収入なんてかるいかるい。
でもこれにはからくりがある。まず中国で上映される映画は数自体少ないし選択肢が狭い。北京市内ならどこの映画館に行っても上映しているのは同じ映画ばかり。国産(香港との合作も含む)対ハリウッド対その他の国の割合が6対3対1ぐらい。間違っても小粋な東欧の映画とか心温まるイラン映画が上映されることはない。その国産映画も大々的に宣伝される超大作の影にかくれて小さい作品はあまり注目されない。なのでどうしても興行成績は偏ってしまう。それが気に入らなければ海賊版のDVDかネットのダウンロードでどうぞということなのだ。
大体、検閲と海賊版の2大問題が野放しなのに映画大国を名乗るのがまず恥ずかしいことだと思わなくてはいけない。
それでも香港は大陸なしで映画を撮り続けることが困難なのは変わっていない。最近ではどういう風に進めれば合作がうまくいくのかという経験も蓄積されて、以前より困難は減っているように感じる。
その中心にいるのがエリック曾志偉とピーター陳可辛だろう。彼らはいち早く大陸に進出してきた。最初はお金にめざとい商売人ゆえかと思ったがそうでもなさそうだ(王晶はどうだろう?)。
ここから先は私の推測妄想いろいろなので確証はない。
陳可辛は香港で監督として成功している他にも幅広く活躍している。プロデューサーとしてアジア各地を飛び回りアメリカにも進出している(これは勉強の意味もあるのではないか)。そうしてアジアのまとめ役のような位置に立つようになる。
ハリウッド映画の一人勝ち状態は全世界的で、反発するにもまるで歯が立たない。これは香港でも韓国でも日本でも一緒。これに対抗するには1国では無理だが、これをアジア(特に東アジア)に広げればどうだろう?ちょうど大陸が「金がなる木」まで成長して来た。これで資金面でもロケ地でも大きくクリア出来そうだ。
2人ともとても頭のいい人である。そして時期を見るのに長けている。彼らを見ているとその頭の中で自分では思いもつかないような壮大な構想が広がっているのではないかと憶測してしまう。
今はまだ中国人向けの中国映画しか製作していない。しかしそのうち世界レベルで受け入れられる作品が生まれるのではないかと思うのだ。
NHKの番組は「大陸で撮影するから中国(大陸)映画」だと思っているところでおかしくなっている。だからと言って今まで見て来た香港映画とも違う。実はこっそりともっと壮大な計画が進められているのだと私は思うのだが。