NHK-BS「天国と地獄」を見る

恐る恐るカミングアウトしてしまうが、実は私は黒澤作品をきちんと観た事がない。すみません。不動の名作なので「そのうち‥…」なんていいながら今でも観ていない。もちろん断片的には見ているが。
それでせっかく実家にいるので「天国と地獄」を観る事にした。しかし前半は父が「世界ふしぎ発見」を楽しみにしているため後半部分のみの鑑賞になってしまった。結局中途半端である。
しかしこれがメチャクチャおもしろいのだ。さすが日本映画界のゴッドファーザーである。
一番の大盛りあがりは新幹線貸切りで撮影した部分。臨場感がたまらない。
白黒フィルムだが煙の部分だけ色をつけるというのも憎い。
ラストと面接のシーンで人間の内面までえぐり出して深い締めくくりになっている。
既に何十万人の人間が指摘しているであろう素晴らしいシーンに自分も感動の後追い。
日本映画業界で今でもよくあるのが「映画は文化か娯楽か」という議論。(あと「芸術映画は商業映画より上」とか。)
それで「君はどう思う?」と聞かれる。私は「お金払って観た人がおもしろければそれでいい」と思っているが、そんな答えでは相手は納得してくれない。高尚(そう)な映画文化論は苦手だ。
でも黒澤明は立派なキングオブ娯楽映画だ。なんてこと言うと「ふとどき者!」とか言われそうだ。