知らない間に世界は大盛り上がり

撮影中は2人部屋(もしくは3人部屋)で泊るのだが、今回は編集助手の女の子郭さんと一緒になった。それで郭さんとその子のボスである編集者の苗さんと3人で近くのスーパーに買物に出掛けた。苗さんは一目見て分かるお金持ちである。車はTOYOTAのでかい4WDで軍専用ナンバー(苗さんは夫婦ともども軍人)。そこでこれからのホテル生活の為に日用品を買う。中国人スタッフ(特に女性)はまったくホテルの清潔度を信用していない。なので自分で掃除するためのトイレの洗剤やら消毒液やらシーツ、枕カバー、タオル、トイレットペーパーその他いろいろを持参する。
 その後苗さんの部屋に行き整理整頓を手伝った。その時に洗面台の上にずらーと並べられたのはディオールやシャネルの化粧品や香水。しかも全部真新しい。それを見て郭さんは
「これ、みんなフランス製じゃないの?」てすかさずつっこみを入れたが、苗さんは少しも慌てず
「だって、お友達からもらったのよ〜。ほほ。」なんてフォローしていた。
ここで少し解説すると、例の聖火リレーの件で今フランス製品の不買運動が起きていてフランス系のスーパー「カルフール」でもデモを起こす事件が中国各地で多発している。
 そんな時に苗さんのような階級が上の人に出会うと(中国にはしっかり階級があるのだ)、所詮デモなんて庶民のうわごと?って言う気になる。何かにつけてデモがある中国で、最初は神妙に考えていたけどしだいに「デモに参加する人は他にすることがない」ということがわかったので、今では特に何も感じない。北京より地方での荒れ方がひどいのも仕事も無くて暇な人が多いからだ。今の北京人は忙しい。遅くまで残業はあるしヘビーな接待にも参加しないといけないしでたいへんなのだ。
昔日本でもフランスが核実験を再開した時に不買運動を起こそうとしたが全然もりあがらなかった。だってみんな海外の高級ブランドが大好きだもの。だいたい核実験とブランドとの間にどういう関係があるのか?別にシャネルが核実験した訳ではないだろう。中国人にしても、普段カルフールで大量に買物しているくせに、もしカルフールが無くなって困るのは自分達だろう。
それにしても中国国内の報道はあまりにも偏っている。そしてそれを信じている中国人と議論しても無駄。
写真は家のセットの中。元々は何もない空っぽのオープンセットだ。1週間だけの我が家。