「My Blueberry Nights」を観る

次の撮影に入る前に大急ぎで王家衛監督「My Blueberry Nights」を観る。「恋する惑星」にそっくりという評判通りに、かなり雰囲気、内容とも共通点が多い。といっても王家衛は常に同じテーマで映画を撮っているのでそれぞれの映画が繋がっていて当然。手塚治の「火の鳥」と同じ構造だ。しかしそれを読み違えて「王家衛てさぁいつもワンパターンだよね」なんて訳知り顔で勘違い評論をする人が多くて困る。
 私はこの映画を見て王家衛は「もしかしたら作品の若返りをしたかったのかも」と思った。香港(中国、台湾)のベテラン俳優を使えばどうしてもぐっと年齢が上がってしまう。そうなるとさわやか青春恋愛映画は無理だろう。
 公開前は演技が素人のノラジョーンズが主役で大丈夫なのかと囁かれたが、実際の主役は彼女が旅先で出会う人々であり、彼女の目を通してストーリーは展開するので問題無し。
 場所をアメリカに移しても王家衛の恋愛観や人生観に変わりはなく、登場人物の感情はいつもすれ違うばかりだ。最後の最後でやっと旅から帰ってきたエリザベスとコーヒーショップのオーナーであるジェレミーの恋が始まることでやっと映画の雰囲気が明るくなる。
 私はこれを観て「恋する惑星」を思い出し、すごく懐かしくなった。あれからもう10年以上経ってしまった。でも初めて「恋する惑星」を観た時のわくわく感は今でも忘れられない。
 私が買ったのは大陸版のDVDだが、これには特典として豪華メンバーの中国語吹替えが入っている。
エリザベス(ノラ・ジョーンズ):董潔(ドン・ジエ)
ジェレミー(ジュード・ロウ):張震チャン・チェン
酔っ払いの警官(デイヴィッド・ストラザーン):姜文チアン・ウェン
警官の妻(レイチェル・ワイズ):鞏俐(コン・リー
女ギャンブラー(ナタリー・ポートマン):ヴィッキー趙薇(チャオ・ウェイ)
 吹替えだけど、姜文と鞏俐で夫婦なんてもう今ではありえないのではないか。貴重だ。
日本では今年の春公開。サイトはwww.blueberry-movie.com/