今日は「長江七号」デー

今日、周星馳監督映画「長江七号」完成記者会見があり、夕方の芸能ニュースは全てこの話題に大きく当てられた。それもそのはずで集まったマスコミは100社以上。みんなの期待の大きさを表す形となった。舞台に登場したのは、周星馳、「功夫カンフーハッスル)」でも共演した林子聡、すごい美人の張雨綺、子役の徐橋の4人。予告編もちょこっと公開されたが、全体像は相変わらず曖昧。「どんな内容か?」と聞かれて「SFファンタジーでアットホームでアクションでコメディ」と答える。周星馳は普通語が苦手なこともあり言葉は少なめだがきちんと質問に対応していた。ここで登場した子役の徐橋が映画の役ではボロボロの服を着て奇声を発したりする男の子なのだが、実は本人は女の子。しかもかなり賢くて記者からの質問を見事にさばいていた。「周星馳監督は役者をよく怒鳴るそうだが本当か?」と聞かれ「そんなことは全然なくて私にとても良くしてくれました。」とすらすら答える姿が、日本のスレた子役より大人っぽい。
大陸の周星馳ファンの特徴として「西遊記1、2(チャイニーズオデッセイ)」以降の作品が好きなことが挙げられる。香港は逆でそれ以前のナンセンスコメディの作品の方が人気がある。当時全編後編に別れて「西遊記」を公開した時はそれまでの周星馳人気とは裏腹にお客が入らなかった。私も周星馳の作品を語る時はこの作品の前か後かで区別する。それ以前はバリー王晶と組んだ作品が多い。内容はくだらないと言えばくだらないがその分突き抜けた勢いがありしかしギャグは脱力系のゆるさで、共演する美男美女がこれまた周星馳に負けないくらい下らないギャグに徹する姿は香港のスターの心意気に感心するばかりだ。超人気者となった周星馳は自分も監督を兼任するようになり製作会社も設立する。その自分の会社での第1作目が「西遊記」となれば力の入りかたが今までと全然違うは当たり前。しかし力が入れば入るほど、ナンセンスな部分は理路整然として行きギャグはお利口になってゆく。「喜劇之王」はまさにそれが行き詰まった感がにじみ出て香港では大不評。周星馳が「下らないコメディ」を撮りたくないのは作品を見れば分かる。しかしそれが「笑えないコメディ」になってしまってはどうだろう。この頃は周星馳危機説まで出ていた。
しかし大陸ではこれが逆になる。「西遊記」以降の作品が断然人気がある。「喜劇之王」が一番好きという人までいるのだから不思議。このへんに大陸と香港の笑いの質が関係している。
その後「少林足球(松林サッカー)」が香港大陸日本でも大ヒットとなり、周星馳は国民的人気を得る。ここで周星馳がやりたかった映画と観客の方向性がぴったり合わさることとなる。それでも私は「以前」の作品の方が好きなので、家でこっそり昔のDVDを見て大笑いしているが。