李小紅監督「門」を観る

王府井に行く途中、今日が火曜日だと気付き映画館へ向かう。王府井の映画館も火曜日は割引デー。20元で観られた。
平日の午後だったがなんとか半分埋まっていた。そして予告もなく、いきなり上映開始。そして字幕が無い。とほほ。でも何とか聞き取れた。いや意地でも聞き取った。
内容は失恋した陳坤が次第に精神的に追いつめられていく話。といえば「妄想」に似ているがそこまで入り組んではいない。この映画が難しいのは、中国は基本的に霊魂の存在を否定している点にある。もちろんDVDを買えば日本香港欧米のホラーは見放題だ。だが国産で本格的な幽霊のたたりが出る映画はこれが初めてなのではないか。そこに李小紅の心意気を買うが、はっきりいって怖くないのだ。途中であくびをしてしまう観衆が多いのはホラーとして致命的。それよりオープニングでもう肝心のネタばらしてるし。後は端正な陳坤の恐怖におののく顔を拝むしかないのである。それか重慶市の街並を楽しむとか。
中国は社会主義に変わった時、たたりや幽霊などの非科学的非合理的なものを旧社会の弊害としてばっさり切り捨てた。先祖を敬うのも「先祖の霊」を敬うのではなく、先祖の努力があって今の自分があるということに感謝してのことである。人は死んだらそこで終わり。死後の世界などないというのが今の中国の基本思想。だから死んで呪うということが実感としてないところに中国(大陸)人俳優が幽霊を演じても無理があるのではないかと思う。その証拠に大陸にはホラー映画ブームは無い。