「父子」を観る

念願の「父子」ディレクターズカット版(足本版という)を観る。香港行きを早めたのもこの映画を観たかったから。159分あったが長いとは思わなかった。正直に言うとパトリック潭家明監督の映画は初めて観る。でも香港ではなかば伝説化しているこの監督の映画を是非観てみたかったのだ。
アーロン郭富城、チャーリー楊采[女尼]の今までのイメージを取っ払った役がよかった。「こんな顔とセックスだけのダメ男っているよな」とか「そうやって女って一瞬のやさしさに負けるんだよね」とか観ながら感情移入してしまうぐらいの2人のダメっぷりさ。2人がお互いにとても愛し合っているのは間違いない。ただ相手を愛する術を持っていないのが致命的。そして親子としても3人はとても愛し合っている。でも家族を維持する術を知らない。中でもアーロンが「俺はお前のことをこれほど愛しているんだ!!」と言って包丁で自分を傷つけようとするのだが、そんなことをわざわざ見せなくていいから、真面目に働いて賭け事をやめればいいだけの話なのである。こんな話、世界中でいっぱいあるだろうな。エンディングの「そうもっていくんかー」っていう肩すかしかたもよかったと思う。日本で公開されたら是非観てほしい。東京国際映画祭では既に公開されている。