「傷城」北京で試写会

私は香港映画は中国では観ないことにしている。だって配音(吹替)だから。「傷城」も香港人俳優のセリフは吹き替えられている。ちなみに金城武舒淇スー・チー)は台湾人だが、広東語も話せる。なので1月に香港で観る予定。ここ何年か中国本土、香港、台湾の垣根を超えて共演する事が多いので、どうしても一部配音になってしまう。しかし香港で撮影されたのなら広東語のままでいいだろうにと思うが。
これの極端な例が「2046」。このなかで梁朝偉はずっと広東語で章子怡チャン・ツィイー)は普通語で話をしている。中国語の区別がつかない人なら気付かないと思うが、やはり苦肉の策としかいえない。「茉莉花開(ジャスミンの花開く)」でも章子怡はちゃきちゃきの北京語で母親役の陳沖(ジョアン・チェン)が上海語というのにも違和感がある。この場合章子怡上海語が話せないにしろ巻舌だらけの北京語はやめるべきではないか。
逆に言葉を直してはいけないのが「阿飛正傳(欲望の翼)」。この中で潘迪華(レベッカ・パン)は上海なまりの広東語を話している。つまり上海からの移民者で人生辛酸なめてからようやく旭弟(ヨディ)を代理で育てる事で大金を手に入れるのである。しかしそんな背景も安易に配音にしてしまうとまったく伝わらない。もちろん中国本土以外で観る限りそんな不粋なことはしていないが。
今香港明星は普通語を習うのに一所懸命である。もう普通語が話せない明星はいないと思う。上手へたはあるけど。映画「英雄(ヒーロー)」「十面埋伏(ラヴァーズ)」の中では香港人俳優でも配音では無かったと思うが、制作会社によって方針が違うのかもしれない。それにしても中国の配音は乱暴。せめて本人の声に合わせるぐらいの配慮はあってほしい。