アメリカ映画

衣裳も美術も音楽も最高「哀れなるものたち」

「ロブスター」「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」など変な映画ばかり撮るヨルゴス・ランティモス監督の最新作。 美術は豪華なスチームパンク調、衣装はちょうちん袖にミニスカート。音楽は何故か音程が外れている。そして広角レン…

Netflixで2度見する「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

実は日本で公開した時に真っ先に観に行ったが、「並行宇宙を行き来する壮大な母娘ゲンカ」ぐらいしか訳が分からず、観ている間中ずっと「?」が点滅しっぱなしだった。 いろんなパターンがあるが、このポスターが一番好き。 なので今回改めてじっくり観るこ…

宗教が人を不幸にしてしまう「ザ・ホエール」

立て続けに人が緩慢的な死に向かっていく映画を観てしまってちょっと気が重い。これもA24が製作している。 元は戯曲なので登場人物は多くない。でもその分キャラが濃い。それぞれがアンビバレントな感情を抱えて爆発している。チャーリーは緩慢な自殺を図っ…

ケイト・ブランシェットのカリスマ性が最高「TAR」

とにかくケイト・ブランシェットが超かっちょいい。 でも性格は最悪。でも本人は無自覚。周りの人間も何も言えないから、好き勝手がそのまま通ってしまう。 ターの音楽の才能は紛れもないものだが、その唯我独尊で横暴ともいえる性格が災いして、後半一気に…

AIロボットは恋をすることが出来るか「アフター・ヤン」

A24といえば攻めた作品揃いの映画制作配給会社だが、どうも好き嫌いが分かれるようだ。私も全部が好きとは言わないが、前宣伝から心に引っかかる作品がとても多いので、観ている作品は多いほうだと思う。 監督は韓国系アメリカ人のコゴナダ。近未来の家族の…

絵本のような世界観「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」

東京国際映画祭では抽選に漏れた。 今回も思う存分に美術を楽しめた。でもどれも映っている時間が短すぎる。もっとじっくり観てみたい。 架空の街の架空の雑誌と架空の記事。ページをめくるように次々と物語が展開する。 出演陣が豪華。レア・セドゥは堂々と…

小説「クレイジー・リッチ・アジアンズ」を読む

偶然図書館で見かけたので読んでみる。映画では正直登場人物が多すぎて整理しきれなかったが、これを読んでやっとすっきりした。小説の方がお下劣なので、お好きな方は小説もどうぞ。 映画の感想はこちら。 mingmei2046.hatenablog.com 上下合わせて約700ペ…

走れないけど走って逃げろ!「RUN」

デビュー作でもある前作「search/サーチ」がアイデア賞ものの傑作だったので、ずっと公開を楽しみにしていた。 アニーシュ・チャガンティ監督は、多分自分に難易度の高い制約を設けるのが好きな性格に違いない。前作は全編PCの画面内だけで物語が進行してい…

老後を強く生き抜きたい人必見「ノマドランド」&「ファーザー」

緊急事態宣言が延長されてずっと観に行けなかった。 最近は老人を主人公にした作品が増えて、撮り方も多様化している。悲惨な結末になりがちな話でも、ただ単に「かわいそう」な内容にはしていない。 「ノマドランド」は車でアメリカ各地を転々とする60代の…

シアタス心斎橋で「 バッファロー'66」を観る

約20年ぶりの 「バッファロー'66」。3月16日からオープンのシアタス心斎橋で鑑賞。 当時は予告編も話題になった。今のようにネットで簡単に予告編が見られる時代ではなかった。大抵は映画館で上映前に流れる予告編をチェックして次に観る映画を選んでいたも…

「レディバード(2017)」をNetflixで観る

男子のこじらせ青春映画は多々あって、そこに登場する女子は大抵クールで主人公より大人だったりする。でも女子だってやっぱりこじらせているのだ。 グレタ・ガーウィグが脚本、監督を担当。自身の経験を元にしているが、それを全世界共通のあるある要素にま…

逆転の発想!昼間なのに怖い「ミッドサマー ディレクターズカット版」

ホラーと戦争映画はすすんで観ることはないが、どうにも気になるのでアップリンク京都まで行って観てきた。 結局幽霊も呪いも最後まで出てこないので、ホラーというよりは「人は如何にしてカルト教団の信者になるのか」というドキュメンタリーを観たような気…

アップリンク京都でグザヴィエ・ドラン祭

9月25日から新作映画「マティアス&マキシム」が上映されるのに合わせて、特集が組まれたりしているグザヴィエ・ドラン。アップリンク京都では「見逃した映画特集」で、ドランが監督もしくは主演をした映画をまとめて上映していた。 その中で私が観たのは「…

名作はいつ見ても名作「蜘蛛女のキス(1985)」

最近久々に原作を読み返したばかりで、そこに映画の再上映のニュース。これは観なくてはと京都シネマまで参上した。 日本での初上映の時、私はまだおぼこい田舎の女の子だったので観ていない。ただ当時吉田秋生がイラストでこの映画を絶賛していたのを今でも…

「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」を観る

長い日本語タイトルだ。「若草物語」と翻訳した昔の人の方がセンスは上だろう。 町山智浩さんの映画評を聞いた後に、「フランシス・ハ」をNetflixで観て頭の中がすっかりグレタ・ガーウィグ一色。今ならLine Payで1200円で観られるのでお得だ。 原作者ルイザ…

帰りの飛行機の中で見た映画いろいろ

今回はとにかく安さ重視だったので、戻りは台北と香港経由のチケットを買った。その分飛行時間も長く、たっぷり映画を堪能した。 まずは「クレイジー・リッチ!」から。 次々と登場するシンガポールの成金たちの予想を裏切らないイカれっぷり。楊紫瓊(ミシ…

大陸では11月16日から公開「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」

2016年の「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」から約2年経過しているので、前回の内容を何とか思い出しながら2を鑑賞。 今回の舞台はイギリスとフランス。魔法学校も登場して好きな人にはたまらない内容だと思うが、ハリーポッターシリーズさえ…

台北で「犬ヶ島」を観る

「グランド・ブダペスト・ホテル」が好きな人はこの映画も好きだと思う。 日本でも上映していたが、台湾の方が映画料金が安いので台北で見た。日本語のセリフなのに中国語の字幕がないことが多かったが、それは台湾だから?大陸でも愛奇藝の会員はネットで見…

「ギフテッド(2017年)」と「(500)日のサマー(2009年)」

飛行機の中で観た「ギフテッド」が思いのほか良かったので、ネットで「(500)日のサマー」も鑑賞。 「ギフテッド」の香港版ポスター。大陸では未公開でネットのみ。こんな感じの映画は外国でヒットしても大陸内ではなかなか公開しない(ネットですぐ観られ…

日本で観た映画いろいろ

10月に日本に帰った時にいくつか映画を観た。 「3度目の殺人」 とにかく役所広司すげー。今回はちょっと狙った演出を披露した是枝監督。実は弁護士の重森も被告人の三隅と同類なのではないかと思った。そして広瀬すずのただならない女優としての存在感。朝ド…

チャンイーモウの名前に騙されてはいけない映画「長城(グレートウォール)」

ハリウッドが巨大中国市場に如何に食い込んでいきたいか分かる映画。監督こそ張芸謀(チャンイーモウ)だがそれ以外のプロデューサー、脚本、音楽等はほぼアメリカ。 話はよくあるハリウッド映画で、見た目からしていかにも悪そうな怪物VS人間、傭兵と美人将…

李安監督映画「BILLY LYNN’S LONG HALFTIME WALK(ビリー・リンの永遠の一日)」を観る

日本では2017年2月11日から公開予定。 最近猫パンチ並みの映画が多かったので、こういうボディブローでじわじわくる映画は久しぶりだ。 深い。無駄な説明は一切なく、かといって足りないわけではない。 私はアメリカという国があまり好きではない。アメリカ…

あぁ、香港がたいへんなことに!「ドクター・ストレンジ」

アメコミにもマーベルにも全く興味のない人間でも、観ることになるのがアメリカンメジャー大作の怖いところである。当然おごりで。 それでも主演がベネディクト・カンバーバッチで、ヒール役がマッツ・ミケルセンというのには心惹かれた。マッツ・ミケルセン…

「酔後大丈夫3(ハングオーバー!!!最後の反省会)」を観る

香港であまり期待せずに1と2のVCDを買ったら大当たり。1はラスベガス、2はタイが舞台で2日酔いで記憶を無くした3人が人を探すという話。 今回はその2日酔いという設定を封印。謎の中国人周を探して金塊を取り戻す話になっている。 最終回にふさわしく…

「クラウドアトラス(雲圖)」を観る

香港では1月から公開している(日本では3月15日から)が、もう九龍灣のMEGABOXでしかやっていない。台湾では当初4月公開だったが、延期されて今は未定。 あまり洋画を観ないが、これは観たかった。理由は2つ。周迅ちゃんと蠔斗娜(ペドゥナ)が出演してい…

「TED」を観る

二輪館で鑑賞。ぬいぐるみのテッドが、アメリカアニメばりにやたら顔の筋肉が動いたらどうしようと心配していたが(私はあれが怖くて嫌い)、ピカチュー並だったのでまずは一安心。 「大人になれない大人」というのは世界中にいるらしく、世界中で大ヒット中…

「龍紋身的女孩(ドラゴンタトゥーの女)」を観る

明けましておめでとうございます。 今年初めの映画はクラスの同級生たちと一緒に観たこの映画。 2009年のオリジナル版をリメイクしたそうだがオリジナル版は観ていない。日本でももうじき公開するので詳しくは書かないようにする。 OPはアートないい感じ。で…

アメリカ版「トラ!トラ!トラ!」を観る

最近はネットで映画を無料ダウンロードをして観るのが主流になっている中国。そんなわけで街中からどんどんDVD屋さんが消失している。しかし回線の速さが不規則でウィルスも怖いので、DVDがあるならそっちを買ったほうが楽である。 個人的に戦争映画はまず見…

おもしろすぎっ「デュース・ ビガロウ:ヨーロピアン・ジゴロ」

せっかくアメリカにいるのだから、時間のある時はまめにTVをつけている。しかし字幕無し英語オンリーになるとさすがに分からない。ドラマ「Closer/クローサー」の新作も何となくしか話が分からない。ただ前と違ってみんなブレンダの仕事っぷりに納得してい…

「My Blueberry Nights」を観る

次の撮影に入る前に大急ぎで王家衛監督「My Blueberry Nights」を観る。「恋する惑星」にそっくりという評判通りに、かなり雰囲気、内容とも共通点が多い。といっても王家衛は常に同じテーマで映画を撮っているのでそれぞれの映画が繋がっていて当然。手塚治…