やっぱり最後は猿になる「悟空傳」

気が付いたらネットで観られるようになっていた「悟空傳」。こちらも有料愛奇藝で鑑賞した。

f:id:mingmei2046:20170828205207j:plain

公開前から情報はかなり耳に入ってきた。ポンちゃん(彭于晏)が人間のまま反逆的な孫悟空を演じるらしいというので、「尾崎豊的な、体制に若さで反抗する青春映画」だと勝手に脳内妄想していた。

監督は「打擂台(燃えよ!じじぃドラゴン)」「全力扣殺(全力スマッシュ)」の郭子健(デレク・クォック)なので、かなり若い感じの西遊記になるだろうとは思った。

原作での孫悟空が天庭で大暴れする話がメインだが、途中で主なメンバーが人間界に落ちてしまう。この普通の人間になってしまう辺りから原作とまったく離れて創作の世界に突入。

そこでみんなで力を合わせて妖怪雲を捕まえるのだが、雲を捕まえるくだりがかなりムチャ。

その後天庭の兵士に捕えられ、死んでしまうのかと思いきやパワーアップした猿になって復活。

最後、スーパー猿になって天庭で一番偉い天尊と対決するが、この天尊が「世界の秩序を守る絶対権威」である意味付けがちょっと薄い。やっぱりヒール役は強くなくては。

あまりにもとらえどころのないあらすじなのに、売り上げは約7億元で続編製作は既に決定している。この映画を見れば2で登場するであろう猪八戒沙悟浄は誰なのか何となく分かる。

それでも悪いところばかりではない。

ただひたすらポンちゃんがかわいい。アップ多用で眼福にはなる。

f:id:mingmei2046:20170828212026j:plain

倪妮(ニーニー)もめちゃくちゃかわいい。こちらもアップ多用。

f:id:mingmei2046:20170828212237j:plain

この映画以外でも、今後も西遊記関係の映画は続々と製作され続けている。

飽きないのかなあ? 

もう、ほんとお腹いっぱい。

王道を行く冒険映画「侠盗連盟(グレート・アドベンチャー)」を観る

今年CMの撮影中に落馬し重体を負ったアンディさん(劉徳華)の主演映画。今年いっぱいは治療にかかるため、この作品以降しばらくは新作が見られないだろうと思ったので観た。「拆弾専家」もそう言いながら観てその後にこの映画のことを知ったのだが、多分これでホントにないと思う。

f:id:mingmei2046:20170823222651j:plain

監督は馮徳倫(スティーヴン・フォン)。どんどんスケールが大きくなって、今回はフランス、チェコウクライナをまたにかけた作品になっている。

愛する恋人のために足を洗おうと最後の仕事をするが、裏切りに遭い5年間監獄に入れられる。出所して誰が裏切り者なのか突き止めようと、新しい仲間を集め重要な鍵を握る宝石を盗む計画を立てる。

軽快なテンポで映画は始まり、以前のようなマンガっぽい演出はなくなっている。どんでん返しも「やっぱりそう来たか」的な変にひねったりしない展開で、良く出来た冒険映画だと思う。

大陸上映なので北京語での上映だが、出演が舒淇スー・チー)、楊祐寧(トニー・ヤン)、張静初の中台香混合だし舞台も海外なので特に問題はない。

はみ出し刑事役のジャンレノもいい役だった。

しかし平均年齢高すぎ。一番若い楊祐寧でも1982年生まれ。長年のキャリアがあるので安心して見ていられるが、やはりアンディさんの若作り(充分若いんだけど)を見ると誰か他にいないのかいと思ってしまう。

そういえば香港映画は一番盛り上がるシーンによく崖が登場する。まるで「火サス」あるあるみたいだ。この映画でもアンディさん達が崖に追い込まれて、黒幕が「わっはっは」と登場する。

f:id:mingmei2046:20170823230205j:plain

お前だったのかっ!  でも大体誰か、割と早めに予想はつく。

今年の夏は「狼戦2」に全部話題をかっさわれてしまい、他の映画は何となく影が薄い。

この映画も保険かけすぎて新鮮味や話題性がないと言えなくもない。それでも丁寧に作られた誰が見ても楽しめるいい映画だと思う。

 

追記:日本では2018年3月31日より公開。

f:id:mingmei2046:20180106231041j:plain

ジャンレノの肩に人がwやっぱりアンディさんが一番目立つ。

「平凡之路」のPVがかなりグッと来た

普段は音楽はあまり聴かず、カラオケにも誘われたら行くだけで1年に1,2回とか。それでいきなりテレサテンの歌をリクエストされて日本語で歌ったりとかする。

中華圏でのカラオケはおとなしく順番通りに歌ったりしない。割り込みだらけだし1人で連続歌うのもあり。歌えない歌をリクエストして自分で途中で切るのもありだ。おとなしく順番なんか待っていると永遠に自分の番なんて回ってこない。

定番は筷子兄弟とか。若い子は大抵イマドキのロックとか歌うけど、ちょっと田舎出身の30代の男性が民謡みたいな歌を急に歌いだしたりする。そのあたりに大陸の文化の断層を垣間見たりする。

バックに流れる画面はいろいろ選択肢があり、大抵ライブ演奏を選んで歌手に成り切りながら歌える。

そこで誰かが「平凡之路」をリクエストした。画面には一台の車だけ。ただひたすら走る画面が続く。でも全然飽きない。

大陸以外の人はこちらから。開かなかったら「平凡之路」でググって。

www.youtube.com/watch?v=x90bdj7_Dgg

大陸の人はこちらから

http://www.iqiyi.com/w_19rs93kkit.html

実は中国映画「後會無期」の主題歌だった。なので最後に陳柏霖(チェン・ボーリン)と馮紹峰(ウィリアム・フォン)の後ろ姿が映る。ということはPVの監督も韓寒なのだろう。映画よりもいい出来だ。

 「後會無期」は韓寒の処女作品。ロードムービーで、中国大陸を東から西に横断する話だ。やたら空撮が多かったが、PVにも使っていたのか。

歌詞の内容は「自分も今までいろんなことがあったし、何もかもダメにしたこともあったけど、今は落ち着いて平凡な日々を送っている。もしも君も今そういう状態なら、大丈夫、きっと乗り越えられるよ」という意味。自分に対して言い聞かせながら、相手に対して励ましてもいる。その「いろんなこと」を表す形容詞がとてもしょっぱい。

何があっても人生は進んでいくしかないのだ。

 

こんな家に住みたい香港映画「幸運是我(幸福な私)2016」

香港が日本を抜いて長寿世界一になったのも記憶に新しいが、それぐらい香港も高齢化社会になっている。老人をテーマにした映画も、「女人、四十。(1995)」「桃姐(タオさんの幸せ(2011)」「一念無明(2017)」など名作が多い。

この作品も去年公開され、とても評判が良かった。これを有料サイト「愛奇藝」で視聴。

f:id:mingmei2046:20170817215416j:plain

 母親を病気で失った旭仔は、今は香港で再婚している父親を探しに広州から香港に向かった。しかし心がすさんでいるので仕事も住む場所も失ってしまう。半ば強引に、街で出会った芳おばさんの家に押しかけ下宿することに。最初は自分勝手な行動ばかりとるが、次第に新しい生活にも慣れ、家族のいない芳おばさんの面倒を見るようになる。

この芳おばさんのおうちがかなり好きだ。

f:id:mingmei2046:20170818131611j:plain

玄関から入ったところ。タイル使いとリビング入口のアールがかった壁がにくい。

f:id:mingmei2046:20170818131718j:plain

キッチン入口。壁にかかった鏡が演出に広がりを持たせている。

f:id:mingmei2046:20170818131738j:plain

リビングからベランダ向け。レトロな壁紙や腰壁がいい味出している。

f:id:mingmei2046:20170818132241j:plain f:id:mingmei2046:20170818132305j:plain

f:id:mingmei2046:20170818132423j:plain

小物もレトロで素敵。

ロケ地は上環、深水埗など。「これぞ香港」という場所ばかり。

f:id:mingmei2046:20170818133003j:plain

認知症の症状が出始めた芳おばさんが迷子になる柯士甸(オースティン)駅の近く。この辺は普通の人でも迷う場所。

f:id:mingmei2046:20170818133217j:plain

屋上。香港っぽい。

f:id:mingmei2046:20170818133248j:plain

上環の坂道。

f:id:mingmei2046:20170818133356j:plain

この場所もよくいろいろな映画に登場する。

f:id:mingmei2046:20170818133804j:plain

映画の本筋には関係ないが一番のお気に入りショット。

音楽は波多野裕介。金像奨を受賞したこともある香港在住の日本人だ。エンディングテーマも本人が熱唱している。

サブキャラもそれぞれしっかりしている。一緒に働くちょっとお調子者の阿甘とお堅い所長の恋の行方とか、若い女性ホームレスの悲しい結末とか。

その後旭仔は最期まで芳おばさんの面倒を看ることを決心する。一種の疑似家族だが、今後こういった血の繋がらない家族は日本でも増えていくと思う。というか何故そこまで血の繋がりにこだわるのか不思議。肉親だって裏切るし、疎遠になることもあるだろうに。

 

追記:2021年11月「香港映画祭2021」の中で上映。

吳慷仁(ウーカンレン)出血大サービス台湾ドラマ「戀愛沙塵暴」

f:id:mingmei2046:20170814132426j:plain

北村豊晴監督の全7話(1話は約90分)台湾ドラマ。放送は2016年8月。北村監督らしい下ネタは中二、いや小学生レベルかもw。ホームドラマで、ラブコメ。でもちょっぴりウルっと来る。

両親役は台湾ドラマではほぼレギュラー化している超ベテラン俳優だ。若手はほぼみんな新人。メイキングを見ると、吳慷仁が現場のムードメーカーになって新人にも演技指導していた。

演出の手法がちょっと日本ドラマっぽい。細かいカット割り(一言しかないセリフの説明にも画が入る)とか、妄想シーンにも力が入っているところとか。

脚本は「我在墾丁*天氣晴(墾丁は今日も晴れ)」の女性コンビ。かなりわちゃわちゃした話の展開だが、足元はしっかり地についている。

ここでもやっぱり注目すべきは吳慷仁だろう。

f:id:mingmei2046:20170814133937j:plain

f:id:mingmei2046:20170814133951j:plain

こんなサービスシーンがいっぱい。ほかにも睡眠薬入りの水を飲んで倒れながら助けを求める、王子っぷりが見事なダンスを踊る、ゴミ廃棄場で超モードな服を着てキメまくる、裸(モザイク入り)で部屋をうろうろする、スタンガンで倒れる、死人のフリをする等々。これらを一切の手抜きなしで大真面目に演じている。

去年あたりからぐっと出演作品が増えている吳慷仁。しかしオファーが来たらそのまま受けているっぽい。今年放送した台湾ドラマ「極品絶配(華麗なるスパイス)」は、テーマも設定もありきたりで、1話だけ見たがそれだけでその後の展開が読めてしまうような内容だった。

そろそろ映画で、吳慷仁の姿が見てみたい。

名曲からドラマ「滚石愛情故事」

滚石唱片(ロックレコード)が製作した20集のオムニバス台湾ドラマ。10人の脚本家と15人の監督、20人の俳優によって1話完結で作られている。放送は2016年の3月なので最近だ。

第1話目は呉慷仁(ウー・カンレン)& 楊丞琳(レイニー・ヤン)が主役。第1話だけ無料視聴出来てラッキー。

f:id:mingmei2046:20170812135147j:plain

雲林県から上京してきた堅実な女の子と、ときめく恋を探す男の物語。

作品ごとに大変身する呉慷仁がすごい。実際はすごく男前なのに、このドラマではしっかりイケてない男になっているw着こなしもダサいが告白の仕方もちょっと引く。でもそのダサさが可愛いからいいのだ。

f:id:mingmei2046:20170812135710j:plain

呉慷仁の眼鏡男子姿。目の保養になるなあ。

「ときめく恋こそ本当の恋」と思いこんで一目ぼれの相手を探していたが、いつのまにかそばにいてホッと安心できる女の子に恋してましたというストーリーが素敵。

大陸に比べて映画やドラマの資金繰りが厳しい台湾は、映画やドラマでこういったオムニバスや短編が多い。短い分ネタ勝負みたいなところがあるので、脚本家はかなり鍛えられるんじゃないだろうか。

2話以降は有料なのでまだ見ていない。呉慷仁を観たのでそれでいいかな。

1まだ見ていないんですけど「戦狼(ウルフ・オブ・ウォー)2」

自分だけならほぼ100%観ることはないのが、アクション映画と戦争映画。これもおごりなので映画館で観た。

f:id:mingmei2046:20170805183622p:plain

1の続編。そして3もありそうな終わり方。

アクションシーンが超すばらしい。アクションは振り付けもそうだが、カメラワークもとても大事だ。手を変え品を変えていろいろな角度で楽しませてくれた。特にドローンと、俳優の身体に装着した小型カメラからの映像がとても生々しくていい。

中国万歳人民解放軍万歳なプロパガンダ映画だし、ストーリーもご都合主義なので、特に気に留める必要は無し。

最初の海でのありえねーw長回しアクションシーンでつかみはOK!その後も登場する銃器の種類は豊富だし、最後はタンク同志でカーチェイスまでやらかしている。

脇を固める俳優も人気者だ。

f:id:mingmei2046:20170805183647j:plain

余男。恋人で上官役。もう死んでいるので「1」からの借用。

 

f:id:mingmei2046:20170803213731j:plain

強面の石兆琪は上官役。

 

f:id:mingmei2046:20170805183716j:plain

ドラマ「人民的名義」でもブームを巻き起こした呉鋼。元老兵役で体を張ってアクションに挑んでいる。

 

「戦狼1」には「ウルフ・オブ・ウォー ネイビー・シールズ傭兵部隊 vs PLA特殊部隊 」という長い邦題がついているということは、DVD販売しているのかな?案の定評価は真っ二つで、それはアクションを重視するか、ストーリーを重視するかという違いから生じる問題だ。

アクション以外はほんとダメダメ。甘ったるい恋人とのノロケとかホントいらない。逆に敵の超マッチョなカップルの馴れ初めの方が気になる。

アクションだけ観ればいい。アクションシーンはいいぞ。

 

追記:その後ますますヒットし、ついに45億元を突破した。

headlines.yahoo.co.jp

夏休み中というのもヒットの要因だろう。確かに暑い日に映画館で涼みながら何も考えずにスカッと出来る映画だ。

肝心なのはこれ。

  • ストーリーのユルさは気にしない。
  • プロパガンダ的な要素にいちいち反応しない。
  • 主人公が不死身なのはお約束

これでおもいきり楽しもう。

 

追記その2:日本では2018年1月12日から公開決定。

f:id:mingmei2046:20180106225127j:plain

1000億円推しは当然だろう。ポスターもハリウッドの戦争映画みたいで中国映画とは知らずに見る人がいたりして。海外で大コケしても大陸ではまずニュースにならないだろうなあw