香港→国境→深センから高鉄の旅

香港映画「29+1」を観終わって宿に着いたのはもう夜中の1時を過ぎていた。

福田の入国管理局は朝7時半に開くが、そこでどれぐらい時間がかかるのか初めて行くので予想出来ない。なので早め早めで準備をする。地下鉄の始発に乗って福田に行くとすると5時起きか?つらい。

始発なのに地下鉄は結構混んでいたが座ることは出来た。そのまま揺られて落馬洲駅に到着。出国は外国人レーンに並ぶ。ここはあまり人がいなかった。うっかり出国カードにサインを書くのを忘れていたが何も言われなかった。

そして長い長い橋を渡る。睡眠不足でフラフラなので動く歩道のお世話になる。

入国は長い列で、並びながら入国カードを書く。審査を通った途端、すごくごつい自転車を組み立て始める香港人が何人かいた。

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こんな感じで色はもっと派手だった。これでどこ走るんだろう?

そのまま人の流れに身を任せて1階へ。地下鉄の入り口でまた荷物検査。ここでもうっかり飲みかけのペットボトルをバッグに入れてしまっていて捕まる。

「何か問題?」てふてくされて聞いたら、多分未成年の制服ダボダボな兄ちゃんに

「大丈夫、てへ☆」とかヤラれて、「これからは羅湖じゃなくて福田の時代だな」と思った。(以前羅湖でちょっと迷った時に大陸側入管のガードマンに罵倒されたことがある。「てめえ、俺の言うことが聞こえないのかよ!ツン×か‼」てな感じで。うんざり。)

地下鉄の切符は紙幣を使うと面倒なのでコインを用意。乗り換えなしで深セン北駅に向かう。

バカでかい深セン北駅に到着。地下鉄の改札を出て列車の改札へ。そこはもう大陸。めまいがするぐらい人だらけ。でも流石に新しい駅なので入場口もたくさんある。大陸の駅は入場するだけでも切符、身分証明書、荷物のチェックが必要だ。私はあらかじめ香港に来る前に切符は手に入れていたが、遠くに見える切符売り場にも長い長い列が出来ていた。中は吹き抜けで待合室になっていて、2階にレストランがある。

そして改札口でも身分証明書のチェックが入る。これが人民なら身分証をかざせば「ピッ」って自動で入れるが、外国人は駅員にパスポートを見せる。ほぼ見てないが。

ネットでは高鉄にはWifiもコンセントもあると書かれていたが、2等席には何もなかった。飛行機よりも高い高鉄のビジネスクラスの話だったのかもしれない。

切符が買えない北京駅のダフ屋 <下川裕治のどこへと訊かれて> (1/2) 〈dot.〉|dot.ドット 朝日新聞出版

今大陸では実名制度をとっていて乗車する本人しか切符が買えない。なので買う時も乗る時も身分証明書が必要になる。代理人が買う時も、乗る人のIDナンバーが必要。切符が欲しいなら28日前から買えるネットがお薦め。

乗り込んでからは何もすることが無いのでひたすら寝る。ここから8時間半かかって友人の家から一番近い駅に着く。そこからまた車で1時間半くらい送ってもらってやっと目的地に到着。

明日はその友人の結婚式に参加する。

「29+1(29歳問題)」を香港で観る

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香港での一般公開は5月11日からだが、先行ロードショーで観ることが出来た。ラッキー。

2017年の大阪アジアン映画祭では観客賞を受賞している。

29+1|OAFF2017|コンペティション部門

30手前の女性2人が主人公。女が必ず人生を振り返る時というのがいくつかあって、それが29歳と、結婚式の前と、子供が独立した後なんじゃないかと思う。私が出会った中でも29歳で海外留学する女性がとても多い。

舞台劇を映画化している。基本は4人。バリキャリの主人公とその彼氏、同じ誕生日の性格が全く違う女性とその幼馴染だ。この幼馴染役をbabyjohn蔡瀚憶が演じている。こいつがホントいい奴で泣けてくる。

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予算が少なさそうな映画だが、パリロケもして90年代の回想も入れてがんばっている。特に壁が倒れたら目の前がエッフェル塔で、そこで2人が初めて出会うという演出は憎かった。

バリキャリ彼氏の黎明(レオン・ライ)のモノマネも爆笑するところだw

天樂(ジョイス)の古い部屋もファッションも可愛くて大好きだ。

香港での〆の映画がこれで良かった。今回観た映画はどれもハズレ無しで大満足だった。

幸せな気持ちを抱えたまま、明日は朝から大陸に戻る。

 

追記:その後日本でも2018年春から一般公開が決定した。

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人生に迷える女子は必見!29歳じゃなくても可。

「春嬌救志明(恋の紫煙3)」を香港国際映画祭で観る

今年のメインイベント!今年は前の2作と一緒に一挙公開。

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なんだかんだいつも仲がいい。

この作品も香港のサブカル文化がぎっしり。怪獣の怖い話から始まり、宇宙人、ヤッターマン、コスプレ、台湾ロケ等お楽しみがいっぱい。

今回はそれぞれの家族も登場。春嬌が志明に対してイマイチ自信が持てなくて不安になる理由が両親から由来していることが判明する。

とにかく観客がHOT。いたるところで「チーシンw(もちろん誉め言葉でね)」と声がかかる。

最後に監督が登場して更に大盛り上がり。監督も司会も「英語翻訳はいいよね~?」ということになり、精いっぱい広東語を聞き取った結果がこれ。

  • この映画は実は監督と監督のヨメが元ネタになっている。
  • 4作品目を作る予定はない。
  • 監督自身はカラオケはあまり好きではない。でも感情を表現するのに歌は最も適しているので、歌うシーンが多い。
  • 男が成長するには女の助けが必要。

子供が生まれて3人になった後も見たいけど、これからも春嬌と志明はずっと変わんないんだろうなあ。

小悪魔には気を付けろ!「指甲刀人魔 (A Nail Clippers Romance)」を観る

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14日が公開初日なのに上映回数が少ない!朝イチにThe Grand Cinemaまで歩いて観る。

彭浩翔(パン・ホーチョン)が出した短編小説集「破事児」の中の1編が原作。彭浩翔はプロデューサー、監督は「低俗喜劇」「春嬌与志明」などで撮影を担当していて今回が初監督作品になる。なので最初の海のシーンとかものすごく綺麗。

香港映画だが香港濃度は少ない。ロケ地はハワイで、役者はほぼ台湾人。香港人は鄭伊健(イーキン・チェン)のみ。

てっきり爪を食べるのかと思ったが、爪切りを食べるんだった。ええ~!一体どうやって?と思ったらバリバリそのまま食べるらしい。それで歯型の着いた爪切りも登場する。一番おいしいのは無印良品の爪切りなんだと。

こんな荒唐無稽な話に普通はついていけないが(張孝全演じる主人公のSeanもそうだ)、だんだん信じるようになるから不思議。

それも周冬雨演じるEmilyの小悪魔的魅力によるものだ。短編ネット映画では周迅(ジョウ・シュン)が演じているが、周冬雨も負けてはいない。「七月与安生」でもそうだったが、実は魔性の女の方がハマり役なのかもしれない。

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「私、爪切りを食べるのが好きなの」このシチュエーションで周迅に言われたら信じるよなー。

しかし、指甲刀人魔専門のレストランを開いてからEmilyはSeanの前から姿を消してしまう。周りの友人からは騙されたんだと言われるが、それも含めてSeanは心からEmilyのことが好きだった。

最後、でも実はやっぱり?みたいな感じで濁しておしまい。

パンチは弱いが、指甲刀人魔の歴史の説明とかおもしろかったし、ハワイはキレイだしで悪くはないと思う。

 

追記:2016年の大阪アジアン映画祭で「爪切りロマンス」の邦題で世界初上映として予定されたが、その後上映中止になった。完成が間に合わなかったのか当局の許可が下りなかったからとか???

「ダイヤモンド・アイランド」を香港国際映画祭で観る

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カンボジア系フランス人監督が撮ったカンボジア映画。なので垢ぬけている。

あらすじなどはここで

第29回東京国際映画祭 | ダイアモンド・アイランド

お兄ちゃんがかっこいい。女の子もナオミ・キャンベルみたいで美人だ。

出稼ぎに来ている貧乏な子とお金持ちの子の落差がすごい。でも娯楽が無いからバイクでグルグル街を回るか、バーで騒ぐだけ。

女の子の口説き方を兄貴分の男が仲間に教える部分がおもしろかった。ある日、主人公がそれを真似たらその通りの反応を女の子がするのもおもしろかった。

最後のQ&Aで監督がとにかく語る語るw会場の人が時間を気にしてるのにも構わず語り続けていた。東京でもそうだったんだろうか?

3年前と今年にベトナムへ行った時、確実に前より生活は良くなっていた。カンボジアも数年したらそんな感じになるんだろうか?

「一念無明(誰がための日々)」を香港国際映画祭で観る

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大阪アジアン映画祭でも上映してグランプリを受賞している。あらすじなどはここに。

一念無明|OAFF2017|特集企画《Special Focus on Hong Kong 2017》

躁鬱症にかかった主人公は、最初は躁状態で登場し、やたら気前が良かったりおしゃべりだ。しかし厳しい現実に突き当たるうちに鬱の症状が出始めどんどんふさぎこんでいく。

香港の雑誌「號外」で監督と脚本家のインタビューが載っていた。香港政府の補助金でこの映画を撮るにあたり、譚家明(パトリック・タム)にかなり助言してもらったらしい。撮影は16日間と短い。しかしうつ病などを調べるのにかなり時間をかけている。

途中で以前の彼女がキリスト教に入信し、自身の体験を告白するシーンが出て来る。ああいう信仰で結ばれた人達を見ているとどうしても胡散臭さを感じてしまう。それは多分つらい現実から宗教に逃げてしまったように見えるからなんだけど、時として逃げないと生きていけない場合があるので責めることは出来ない。

一つの部屋を区切って貸し借りするのは香港では割とある。私が大昔旺角で住んでいた部屋もそうだった。壁はもっとちゃんとしていたが同じくらいの狭さだった。

まさに八方塞がりな状態だが、それでも最後にほんの少しだが明るい光が見える。2人だったらきっと乗り越えられるんじゃないかと思う。

 

追記:2019年2月2日から新宿K's cinemaほか全国で順次ロードショー決定。邦題は「誰がための日々」。「一念無明」からこの邦題に行きつくまでたいへんだったろうな。

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追記2:Netflixで配信中。

20年ぶりの「香港製造(メイドインホンコン)」を香港国際映画祭で観る

デジタル修正して今回の特集に登場した。

大人になって見直すと、こんなに生(性)と死が濃厚で、それが日々の生活に密着していたんだと再認識させられた。

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墓地で女の子がわざとスカートを広げて見せて弟分の男の子が鼻血出すシーンとか、当時は普通に「バカだなあ」ってかんじで笑って見ていた。でもこれって今見ても衝撃的。

1997年のあの何だか浮かれてザワザワした香港の空気がそのまま詰まっている。

何せ20年ぶりなので忘れている部分も多々あってw新作みたいな気持ちで観られたので良しとしよう。

前後に陳果(フルーツ・チャン)とプロデューサーが登場してQ&Aをしたが、こちらも20年前のことはうろ覚えでwただハギレフィルムを集めてメーカーごとに分けるのが大変だったと言っていた。(メーカーによって画面が青っぽかったり黄色ぽかったりするから。そこからこのシーンは何分撮れるかなど計算したらしい。)

名作。